第2273話 本家の墓

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180 :177:2011/04/18(月) 00:26:02.96 ID:LkFCis070
そうそう、さっきのカキコで勢いがついたから去年の話もするね。猫は全然関係ないけど。

俺も長い間フリーターで適当に暮らしてきたんだ。で、一念発起して学校に行って資格を取って、それなりに収入を得られるようになった。
で、父方の祖父の墓があってさ、もうかれこれ20年くらい墓石を建てないで川から拾ってきた石みたいなのを墓石にしてたの。

祖父は本家から分家した一代目で、家にはきちんとした墓がない状態が続いてたわけ。
本家も、二代前に大本の本家から分家したわけで、大本の本家がある。

その本家はかなり古い家で、800年ずっと同じ土地(広島の山奥)で続いた旧家らしい。
らしいってのは、親父が祖父に子供の頃電車に乗せてもらって電車から「あそこだあそこ」って指を指して教わって話を聞いた程度のものだったからね。
親父も良くわかってないわけ。でも田舎の家からはそう遠くないところではあったみたい。

181 :177:2011/04/18(月) 00:32:42.92 ID:LkFCis070
で、俺もそういう話をきいてはいたんだけど、見に行きたいなあと思いながらもそこまで気になるわけじゃないから、特に何もなかったわけ。
でも祖父の墓がいつまでもいい加減なのはダメだろうと思って、就職したのを機に金を溜めて、親父に働きかけて墓を建てることにした。

ここで少し話はそれるね。
弟と俺は仲が良くて、弟の彼女オススメの霊媒師に一緒に見てもらいに行ったの。
で、その人は大阪のどこだったか忘れたけど、整体もしつつ、そういったスピリチュアルなこともしている人だった。

俺が見てもらった内容はもう忘れたけど、弟を見てもらったとき、守護霊は鍛冶屋だと言われた。
鍛冶屋ってことは刀を?と聞くと「いや、農具とかそういったものですね」と言う。

なんで鍛冶屋で農具なんだよ、と帰りに弟と笑ったのを覚えてる。
まあ当たるも八卦だろって感じで流してたんだよね。
これは墓を建てる3年以上前。

で、親父と話をつめて、いよいよ墓が建つ段取りになった。
俺と親父は墓を建てるのに伴ってお寺さんがしてくれる儀式じゃないけど、それに参加するために田舎に帰った。

183 :177:2011/04/18(月) 00:40:13.37 ID:LkFCis070
前の日の深夜に車で出発して、朝方に田舎についた。
なんとなく話は本家の本家の話になって、儀式は昼からってこともあって、ちょっと探してみようかと本家の本家のあるんじゃないかという場所に向かったわけ。

なんといっても、親父が40年以上前に汽車から見ただけの場所だからさ、俺も親父も見つかるなんて思ってないわけ。
よく考えると800年続いた家って、鎌倉時代くらいからずっと続いてるわけでさ、それってすごいなあは思ったよ。

で、本当にほとんど何のあてもなく、車を走らせてたわけ。
山奥の田舎の集落。自然と車は徐行で走る。

俺がふっと見ると、「○○家」の墓(○○は俺の苗字ね)が偶然目に飛び込んできた。
急いで車を止めて見てみる、間違いない。家紋も剣カタバサミ。分家の分家のうちは外が丸。そこは六角形。

本当にびっくりした。
まさかそんなのが見つかると思ってなかったしね。

ただ、親父がおかしいなと言う。確かにおかしい。
だって、800年続いたにしては、墓石が少なすぎる。というか、一基?しか建ってないし。
多分これはうちと同じ分家なんだろうって話になった。

184 :177:2011/04/18(月) 00:46:29.68 ID:LkFCis070
田舎の分家だから。それこそ本家も近所にあってもおかしくないってことで、その近くをまた車で走ったわけ。

でもやっぱり見つからない。
当てなんてないから当然だよね。

「しょーがねえから帰ろう、お寺さんも来るし。」と親父が言う。
確かにしょうがないよね、と帰路についた。

後から考えると呼ばれたんだろうと思うよ。
その帰り道でまず間違いなく本家の本家だろうって墓を見つけたの。

多分、ごく最近に先祖代々の墓を一箇所に集めたんだろう。
前面に比較的新しいうちと同じ苗字、同じ家紋の墓石。
後ろには古い墓石。もう朽ちて字が読めないレベル。苗字が同じことはかろうじてわかった。

さすがに800年前の墓石ではないだろうけど、江戸時代くらいからの墓石が16基くらい一箇所に集められていた。
「ウソだろ~?」と親父と驚きながらも、手を合わせて、ご挨拶をして、分家(というかうちね)に向かった。

185 :177:2011/04/18(月) 00:53:43.37 ID:LkFCis070
お寺さんの儀式?は滞りなく行われた。不思議な話は特になかったよ。
親父の姉と妹と、その旦那さんたちが来てくれた。

きちんとした墓石を建てられて、俺はとてもうれしかった。

で、その日の晩、もう誰も住んでない親父の実家というか、田舎に親父と二人で泊まった。
酒を飲みながら、親父ととりとめのない話をした。

霊だの導きだの、一切信じない親父だったが、今回本家の本家の墓に辿り着いたのはさすがに偶然かあ?と首をかしげていた。
話はぽつりぽつりと続いた。

親父から祖父の話は良く聞いていた。
すごく頭が良かったこと、大学に行くのが珍しかった明治の世に、ド田舎から早稲田に行った神童だったこと、東京で新聞会社を立ち上げて成功したものの、
戦争で全て焼かれて失意のうちにこちらに戻ってきていたこと。
そういったわけでさ、子供の頃からよく早稲田の校歌を親父から聞かされていたよ。

187 :177:2011/04/18(月) 00:59:26.07 ID:LkFCis070
よく考えると、それより昔の話は聞いた事がなかったんだ。
曽祖父はどんな人だったのか。

親父の話はぽつりぽつりと続いて、曽祖父の話にまで続いた。俺は30年生きて、本当に曽祖父の話は初めて聞いた。
すぐ近くに住んでいて鍛冶屋をやっていた人で、集落の農具の修理を一手に引き受けてそれなりにいい暮らしをしていたらしい。

そこで弟と行った時の話を思い出してド肝をぬかれた。
ってことは弟の守護霊は曽祖父?

俺も弟も全く知らなかったことなんだけどなあ・・・。
あと、本家の裏に小さなお城があったこと、今は誰も来ない墓地があったこと、聞いたことのない話をたくさんしてくれた。
なぜ今までそんな話がなかったのか不思議だったよ。

188 :177:2011/04/18(月) 01:11:23.52 ID:LkFCis070
>>186
そうそう。都の西北、早稲田の森?に~ってやつ。
当時の早稲田は今ほどレベルは高くなかったらしいけどね。

で、次の日。
祖母は今すこし町のほうにある老人ホームにいる。
親父が何やら寄る用事があるから、とそこに寄ることにした。

別の場所に泊まっていたおばさん二人も合流して祖母の部屋に。
親父もおばさんも施設の人から連絡を受けてはいたけど、何の用事か知らなかった。
墓の儀式がある日に偶然電話があったから、次の日にみんなで寄っただけなんだよ。

施設の人が言うには、祖母の痴呆が少しずつ進んでいて、状況がもうギリギリだから今のうちに部屋をもっと看護ができるところに移しておきたいってことだった。
渋りに渋る祖母をみんなで説得して、引越しをした。つーても同じ施設内だけど。

200万の札束が出てきたり、結構な額の通帳がわんさか出てきたりでびっくりしたな。
みんなで最後まで手伝って、終わった頃には夜。それから解散して家に帰ったよ。

帰りの高速で親父と話をしたんだ。
これは、祖父に呼ばれたのかもなって。

偶然、ほんとに偶然、祖母の引越しを子供全員+孫一人で行えたわけでしょ?
あの札束にしても、施設の人に引越しを任せてたらくすねられてもわからない。通帳も全く同じ話。
そもそも、肉親に説得されてなきゃ引っ越しに同意したかすらわからない。

祖父の墓のことで全員が帰郷していたちょうどその日だからね・・・。

189 :177:2011/04/18(月) 01:14:21.15 ID:LkFCis070
長々と続いたわりに大した話じゃなくてゴメン。

でも、本家の本家の墓を偶然発見、曽祖父の話と弟の守護霊の話がつながったこと、祖母の引越しを肉親で行えたこと、
結構な偶然がいくつも重なって、俺としてはとても不思議なんだよね。

墓を建てるってことは自分が先祖と繋がるってことなんだろうなあ。
祖父が喜んでいてくれてたら、本当にうれしいよ。

これで俺の話はおしまい。
お付き合いくださったみなさん、ありがとうございました。

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『第2273話 本家の墓』へのコメント

  1. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2011/04/18(月) 16:04:55 ID:d8c3c1946

    いい話だった。俺の家は九州で900年程続いている俺の家は安土桃山時代に嫡流から分家し、その後没落して帰農した。現在、嫡流とは何にも交流はない。平安末期の先祖の墓参りには去年行った。(墓石自体は江戸時代のもの)投稿主も先祖を大切にしてくれ。

  2. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2011/04/18(月) 17:34:39 ID:f30bd8e1d

    ↑きみの話は別に聞いてない

  3. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2011/04/18(月) 17:47:43 ID:9f384f1e1

    そんなこと言うのならコメント欄なんていらなくなっちゃうじゃない

  4. 名前:ねこまま 投稿日:2011/04/18(月) 20:25:28 ID:b2fe8b0c7

    投稿主さん、良い方ですね・・

  5. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2011/04/19(火) 03:21:34 ID:847d999ca

    投稿内容より100年長いんでちゅか
    凄いでちゅね

    これで満足しただろ

  6. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2011/04/19(火) 23:07:15 ID:ec40c04d1

    まぁ確かにそれも一理あるけど、一番のコメ主は取って付けたような感想だけで、この話にかこつけて自慢話をしたいだけのように感じるからな。
    ちなみに俺なら

    出会いは偶然ではなく必然なりって言われたりするけど、ご先祖様のお導きだな。
    俺の家は九州で投稿主と同じような家系。
    親父は小さい頃「細川50万石野郎~!」ってイジメられたらしいw
    俺の守護霊が殿様ならウレシイのにな!
    今度帰ったらお墓をキッチリ掃除してあげたくなったよ。

    って書くぜ。

  7. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2011/04/20(水) 18:39:49 ID:90129375c

    ※1の人気とミサワ度に嫉妬

  8. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2011/04/21(木) 00:25:21 ID:d2c92cac4

    スペシャルドラマ化決定?
    いい話だったよ、ありがとう

  9. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2011/04/22(金) 20:01:57 ID:f08ff86f5

    米1は別に叩かれること書いてないだろ。
    極々普通の会話、普通のコメントだと思うが。ネットだと噛み付く輩が現れるのがオカルト。

  10. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2011/04/24(日) 10:08:55 ID:094ddf44f

    いい話かもしれんが、話としては最高につまらんかった

  11. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2011/04/24(日) 13:39:38 ID:176f73723

    ↑うむ。同意。
    なんで叩かれているのか、よくわからん。

  12. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2011/04/24(日) 14:32:05 ID:94eea86d0

    叩いてるのはまだ大人とまともに会話できない子供なんだと思う。

  13. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2011/04/30(土) 11:19:31 ID:6dd5ca4d6

    お前がどう書こうと知ったこっちゃないがな

  14. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2011/05/02(月) 07:45:02 ID:449c2bb80

    人柄がいいのは良くわかったよ
    スリルとかはないけどね

  15. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2011/05/03(火) 13:51:10 ID:eb06478f3

    エニグマにスリルってwwwww

  16. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2011/06/04(土) 01:50:38 ID:a83302f7f

    何か淡々としつつ情緒的で、景色が目に浮かぶ。いいお話でした。

  17. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2011/07/15(金) 12:16:06 ID:2567fe6ea

    うん。
    ただ長いだけ。

  18. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2011/11/26(土) 21:35:58 ID:4c6c703cc

    スルリとサスペンダー

  19. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2012/03/07(水) 00:23:46 ID:f04a9131c

    確かにつまらんし無駄に長い
    「だから何?偶然だよね?」ってレベルだが
    先祖を敬う気持ちを新たにさせて貰ったわありがとう

  20. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2012/06/09(土) 20:42:54 ID:18223c877

    いい話に水差してすまんが、家紋はケンカタバサミじゃなくて
    剣カタバミだと思うぞ、大老の酒井家と同じやつな

  21. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2015/06/13(土) 10:39:39 ID:b148a1fe1

    ウチも丸に剣かたばみなんだけど。珍しくないのかな?

  22. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2015/10/03(土) 03:59:18 ID:17a9b30af

    ご先祖様を大切にしてきた人達にとっては、こんな事は普通にありえる話だ。

  23. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2015/10/04(日) 11:12:02 ID:ce366ea58

    祖霊を敬ったら現世利益ってコレジャナイ感がすごいんだけど

  24. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2018/12/17(月) 23:47:28 ID:3886827f2

    鍛冶屋で農具って笑うようなことか?

  25. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2019/03/09(土) 14:35:50 ID:daae7b160

    ↑野鍛冶が増えて鉄製農具が安価に供給されるようになったから新規村落形成が進行したって某番組でやってたね。知識がないと評価もできないということか