第140話 鬼

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
956 :あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] :02/08/16 12:02
叔父の話を一つ語らせてもらいます。長文勘弁ね。

幼少の頃の叔父は手のつけられない程の悪餓鬼だったそうで、
疎開先の田舎でも、畑の作物は盗み食いする、馬に乗ろうとして逃がす等、
子供達のガキ大将を自負するようなDQNでした。

さてその疎開先には、地方にしては大きな神社がありました。
「今となっては何を祭っていたのかもわからん」だそうですが、
桜の木が何本も植えられていて、春ともなれば正しく満開の桜が見物できたのでしょう。

また、聖域とでも言うのでしょうか。
「子供達がむやみに近づいてはならない」という暗黙の了解があったようです。

957 :あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] :02/08/16 12:02
しかし、そこはDQNな叔父のこと。
「やってはいけない」と言われれば反発心が刺激されます。
ただでさえ娯楽の無い疎開先。いずれは出ていくという気持ちもあったのでしょう。
一つのイタヅラを実行に移す事にしました。

神社には神様を乗せる(?)馬が飼われています。
これに乗って神社の石段を駆け下りようというのです。

勿論、昼は大人達の目がありますから、夜のうちから神社に忍びこみ、
朝のお勤めの時に馬で駆け出す…みんなびっくり!
俺様の株、急上昇!(゚д゚)ウマー という作戦でした。

958 :あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] :02/08/16 12:03
予定どうりに深夜部屋を抜け出して、神社へと向かう叔父…
満開の夜桜が近づくにつれ、叔父の耳に場違いな音が聞こえてきました。

ぽんぽん…ぽぽん…それはツツミの音だったそうです。

最初は大人達が酒盛りでもしているのかと警戒した叔父ですが、
こんな深夜の、この戦時中にありえない事くらい子供にもわかることでした。

神社に近付けば近付くほど、ぽん…ぽぽん…という音がハッキリ聞こえます。
鳥居の影に隠れ、中を覗く叔父。

959 :あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] :02/08/16 12:03
そこには、ひどく幻想的な光景がありました。

風に散る夜桜の花びら、ツツミをうつおかっぱの子供。
くるくる…くるくると舞う1人の女性。

叔父は時間を忘れ、その光景に見入ったそうです。
この世の物とは思えない美しさでしたが、
どこかおかしな、非常識さが叔父を正気に戻らせ家へと逃げかえりました。

翌朝、昨夜の出来事を誰かに話したかった叔父は、
思いきって神社の神主さんに全てをうちあけました。

960 :あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] :02/08/16 12:05
話を全て聞き終わった神主さんは、
「声をかけたか?」「見つかったか?」などいくつか質問をした後で、
叔父にニンマリ笑いかけたそうです。

「よかったなぁ…見つからんで、ほんによかったなぁ」

「ありゃ、この世の者でない」「…鬼じゃ」

今でも叔父は酒が入るとこの話をします(苦藁
「S(俺)君、鬼はいるんだよ…」
まぁ、正直俺も信じてないし、オカルトとも微妙に違う気がすんだけど、
アホくさと思いながらも書いてみマスタ。

      (゚д゚) ミマスタ!!
      ゚(  )―
      / >

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク

『第140話 鬼』へのコメント

  1. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/06/29(日) 21:41:00 ID:a51a513ed

    せっかく幻想的な気分を、最後のミマスタで台無しにされたw

  2. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/11/09(日) 12:58:00 ID:b78b8f759

    見つかったらどうなっちゃってたんだろうね…

  3. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2009/05/11(月) 20:24:00 ID:92e9c0ce1

    幻想的なんだけど、鬼なのかなあ・・・

  4. 名前:ジュジュ 投稿日:2009/05/27(水) 16:36:00 ID:6aea25f50

    こんな体験してみたいな

  5. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2009/08/07(金) 00:36:00 ID:4f1d01799

    花咲かじいさんでも鬼は舞を楽しんでたし、鬼は歌や舞と言ったものが好きとかなんとか

  6. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2009/10/11(日) 09:50:00 ID:e55852fd5

    最後の最後でバカスww

  7. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2009/10/11(日) 15:07:00 ID:fc81747b3

    美しい描写

  8. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2010/12/05(日) 03:18:25 ID:25af09736

    境内に鬼なんか出るのかなあ……?

    神主さんは悪ガキの叔父をちょっと懲らしめてやろうと思って鬼とか言ったのかも。

  9. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2011/08/18(木) 12:26:52 ID:5c5a39899

    いつか俺も見てみたい

  10. 名前:あさ 投稿日:2012/04/21(土) 23:58:27 ID:757ab7f8e

    美しい鬼なのかな?
    神主さんは鬼と親しいのかな。
    神職ってこういう事当たり前に経験してそう。

  11. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2013/06/01(土) 20:08:47 ID:f0f55427f

    ミマスタ!

  12. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2013/11/28(木) 01:45:44 ID:553bd15ad

    多分古い昔から何か有ったんだろうね(笑。鬼や神様の花見スポット?)
          
    …とはいえ団体の正体が鬼でもそうじゃなくても、見つかったら酷い罰か気に入られて違う世界に連れて行かれてたかもしれないから、あの男の子は見つからなくて正解だったと思うよ;

  13. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2015/05/01(金) 22:51:30 ID:d6aef787a

    (゚д゚) ミマスタ!!  ←愛されすぎだろw

  14. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2020/11/13(金) 07:23:48 ID:958621a04

    鬼滅に鼓を打つ鬼がいるね