第191話 注射

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179 :あなたのうしろに名無しさんが・・・ :02/11/21 04:19
小さいころ物覚えが悪くて苦労した。その中に右左がある。直感的にどちらが右でどちらが左かを判断できなかった。
小学校中学年までの自分は手の甲を見て判断していた。左の甲の親指の根元あたりにほくろがあったので、見ればわかったのだ。
だが、少なくともごくごく小さい時にはこのほくろはなかった。
両親が当時もみじのような自分の手と自分たちの手を並べて比較写真を撮っている。それが一葉残っているが、今みる限り左の手の甲にはなにもない。
ほくろなんか成長するうちに自然と出来るものだ、と皆は言うだろう。
だが自分はこのほくろがなぜ出来たかをぼんやりと理解していた。
180 :あなたのうしろに名無しさんが・・・ :02/11/21 04:23
幼少時の断片的な記憶がある。
幼稚園児くらいだったが、両親に木造の古い体育館のようなところに連れて行かれた。
中には自分と同じ年頃の子どもが列を作っていた。
先頭には医者が待ち構えていて子どもに次々と注射をしていた。
わあいやだと思ったが両親がいるから逃げられない。
思い込みかもしれないが、実際に怖い顔で無言の圧力をかけられた気がする。
注射の終わった子どもは大声で泣き喚きながら手をおさえて列から出ていく。
そのうちにとうとう自分の番がきた。
医者に会うのは初めてでなかったので、白衣を着た女のひと(看護婦)が一緒にいるものだ、という知識はあったが、医者は一人だった。
何でだろうと思ったことをはっきり覚えている。
医者は自分の左手の甲、その親指の根元に注射をした。
信じられないほど痛かったので自分はものすごく(両親をあとで困らせるくらい)泣いてしまった。
181 :あなたのうしろに名無しさんが・・・ :02/11/21 04:35
もうおわかりと思うがほくろはその後にできた。
ただ自分の記憶に明らかに不合理な点があるので、記憶の改ざん・合成が行われたのだと自分では信じていた。
自分の家の近くにそんな建物はないし、注射ならそんな肉のうすい、骨と隣り合わせのような箇所にはうつまい。
だいいち肝心の両親が自分の記憶を否定していたのだ。
だが20歳も越えるころになって、父親の故郷にかえったとき、実家の近くにものすごく古びた木造の体育館のようなものを見かけた。
直感が働いたので、あの建物は何か尋ねた。
区域の共同の公民館の一部だったらしい。
父親が少年のとき、予防注射のようなものがその建物で行われて、嫌で嫌で逃げ出す子どもが多かったそうだ。
自分ははっとした。もしかしてここがあの場所ではないのか?
だがあまりに老朽化しているので、入れさせてもらうことはできそうになかった。
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『第191話 注射』へのコメント

  1. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2010/05/08(土) 19:18:00 ID:1f1222efb

    国家犯罪の匂いがします。

  2. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2011/02/27(日) 00:18:35 ID:e618e7dd4

    子供を産めなくなる例のアレか

  3. 名前:名無し 投稿日:2011/04/13(水) 14:54:03 ID:3b032749b

    血管が細くて刺すとこ分かりにくかったら手の甲にやるらしい

  4. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2011/11/21(月) 17:46:36 ID:20d4c9a5c

    注射とか点滴とかするとき手の甲に刺したりもするけど、親指の付け根とか普通はしないよね。
    ちなみに俺も全く同じような場所にホクロがある…

  5. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2011/11/21(月) 23:30:03 ID:5ba087b0a

    特定の年代、地域で行われてた注射なのだろうか
    私は四十手前だが親指付け根に黒子や痣はない

  6. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2013/12/19(木) 12:21:22 ID:36193c674

    はっきり言おう。
    俺も『直感的』には、左右がわからない。
    もちろん、頭の中で確認するとわかるけど。
    40も越えたというのに・・・

    因みに、ホクロはない。

  7. 名前:名無しの 投稿日:2014/06/11(水) 00:03:46 ID:896587807

    ぺけファイルみたい。なんだかすごいね。