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第2525話 サークルの友達

112 :その1:2011/11/12(土) 12:44:37.82 ID:kt1gwABrI
正月間近だったかな。
当時大学生だった俺はサークルで飲んだあと、仲が良かったサークルの友達Σと俺のアパートに向かってた。
Σはもじゃもじゃロン毛の男前でしかもかなり明るくて、飲むと良くちん毛ファイヤーとか裸音頭とかやって場を沸かしてた。
誰とでもすぐ仲良くなるタイプだったな。
俺はどっちかっていうと、そういうのに憧れてそれぶってはみるんだけど、絶対Σみたくはなれないタイプ。なんだけど、Σはなぜか俺を親友扱いしてくれてた。
113 :その2:2011/11/12(土) 12:46:02.00 ID:kt1gwABrI
Σと俺はみんな寝静まった住宅街の間を二人で歩いてた。
Σは当時流行ってた「1/3の純情な感情」って歌口ずさんだりしてた。
で、急に「おーっ!」て叫んで行く手を指差した。

言われて見てみたけど、何をさしてんだかよくわからなかった。
「なに、なんだよΣ?」
俺は聞いたけど、
Σは酔ってんのか、ニヤニヤして答えない。
で、おー、とかマジかよ!とかいいながら指差した方向へ近づいてく。
「ここだよ、マジここ」
Σが立ち止まって、地面を指差した。
「だから何が?」
俺はちょっと気味悪くなった。
Σが見たら、水たまりがあった。人間みたいな形をした水たまりだった。
水たまりはちょうど街灯の真下にあって、表面は鏡みたいになってた。
Σは水たまりをじーっと見て、変な言葉を口走った。
その辺からΣの様子が変になった。
で、なんかよくわからない言葉をブツブツ呟いてる。
一部覚えてるのはこんなの。
「クソあの野郎おめーさえあの時隠れてりゃあよう、こんな2:22なんてくるわけなかったんだ。ちくしょうだけどこれも宿命ってやつなのか俺はやっぱ俺にしかなれないのかよなんだよこの世界!」
目つきが狂気走ってて、完全にこわれてた。

で、ふっと罵声が止まった。

Σはそれから妙に冷ややかな目で俺の方を見て、一言言った。
「や、や、やっぱ帰る」
声が小さくて、どもってた。

俺はぶっちゃけ恐くて、Σを引き止めなかった。
それにちょっとチビった。

114 :その3:2011/11/12(土) 12:48:40.97 ID:kt1gwABrI
それから、Σとの関係がおかしくなった。
会っても挨拶一つしない。
無視される。
Σは変わった。
急に暗くて内向的な奴になった。詩とか読み始めて、誰も近づかない。

ΩっていうΣの太鼓持ちがいて、俺はΩにΣ最近どうしたって聞いたんだ。
そしたらΩが「どうしたって、何が?」って。
いや最近すげー暗いじゃん。
「はぁ? 前からあんなんだろ」
どこがだよ。暗い奴がちん毛ファイヤーとか裸音頭やるか?
「ちん毛ファイヤー? お前何言ってる? バカか」
Ωは呆れ顔で去ってった。
他のΣの追従者だった奴らにもこの件聞いてみたんだけど、みんな呆れ顔するだけだった。

で、ある時、これも追従者の一人だったβってやつにこのこと聞いてたら、Σがたまたまそばを通りかかった。

俺とは目が合っただけなんだけど、Σの奴、底なしに寂しそうな目をしてた。

見えないガラスの壁の向こうに閉じ込められてるような感じ。

で、そのガラスの壁の印象が、俺の中であの水たまりの表面とカブる。

Σに、そしてΣを知ってたみんなや俺に何が起きたのかわからない。
でも一つ確実に言えるのは、ここはΣがチンゲファイヤーやらない側の世界ってことだ。

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