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第2694話 押入れの落書き

256 :本当にあった怖い名無し:2012/02/24(金) 15:50:18.31 ID:F1PAzHDP0
大学1年(20年ぐらい前)、同じサークルにいた(それまであまり親交もない)同級生
(I君)から、
「今日、うち(彼のアパート)に来ない?相談したいことがある」
と真剣な顔で言われ、彼についてそのアパートへ行った。
築20年は経ってるかな…6畳一間、風呂なし、共同便所。しかし家賃は2万円。
(今では文化財級かもw、でも20年前は大学1年なんて半分はそんな感じだった。

I君の部屋は意外とこざっぱりした感じ。
俺「で、相談て何なの?」
I君は言いよどんでいたが、押し入れを指さして、
「何かおる。見て!」
正直、I君の必死な顔に笑い出しそうになったけどこらえた。
俺「何がおるんや?」
I「毎晩あっちから何かが出てくるんや」
意味分からんw とりあえず0感な俺は押し入れのふすまを開ける。中身は空。
(たぶんIは片づけておいたんでしょう
I君は「そ、そこに何か貼ってるでしょう?見て!見て!」
言うやいなや彼は部屋を飛び出した。

257 :本当にあった怖い名無し:2012/02/24(金) 15:51:15.19 ID:F1PAzHDP0
残された俺はかなり不愉快だったけど、押し入れの中を調べた。
いや、調べる以前に彼が言った「貼ってある」存在が目の前にあった。
壁紙用(60センチ四方)のクロスだ。
「なんでこんなもんが怖いのか」
半分腹を立てながら調べる。
普通クロスは住宅用のノリで全面キッチリ貼ってある。しかし18歳にそんな知識は
ない。それは真ん中あたりが浮いていた。これは…と周辺に爪を立てると、クロスの
四辺を両面テープでくっつけているだけ。クロスはすぐに落ちた。
壁を見て全身の鳥肌が立った。
一回押し入れ&部屋から出て、隣室の同級生の家に避難してたI君に声を掛けた。
「あれ、はがしちゃったから文房具屋さんで両面テープ買ってきて~(引きつり笑)」

俺が見た物。
左下(床下から2~10センチあたり)に、推定5~6歳の子供が赤いクレヨンで描いた
顔の絵。
顔の上には「おかあちゃん」と書いてあった。
まずこれが異常だ。いくら寝ぞべって絵を描いても、子供とはいってももっと視線は
高いはず。
普通脛(すね)~膝より高い位置しか子供は落書きしないし。
俺が鳥肌したのは、クロスの右下の赤クレヨン。
「おかあちゃん」とたぶん同じ筆跡で、

なか村まさ子 六十二さい

258 :本当にあった怖い名無し:2012/02/24(金) 15:52:28.57 ID:F1PAzHDP0
I君が両面テープを買ってきて、クロスを張り直してたら、当然、I君が聞いてきた。
「何かあった?」
何もなかったと言ったら、Iは剥がして自分で確認するだろうな、と思った。
だから、左下だけめくって見せて、
「前の住人の子供が落書きしてたんだよ。それだけのことw」
I君はそれでも気持ち悪い、と翌年近くのワンルームに転居した。

後日談がある。
その翌年、大学関係で斡旋されて、あのアパートに同じサークルの1年生が1人
入った。
I君の部屋に入ったのも同じ大学の1年生だったらしい。1年の後期に入った頃から
おかしくなり始めて、夜中の2時3時にアパート中のドアを殴って、
「うおぉぉおおおぉぉお!助けて!助けて!殺されますぅお願いです助けてぇ!」
数日後、親が引き取りに来てその後は不明(らしい)。

数年前帰省してレンタカーで、大学時代の思い出をたどった。
あのアパートはもうなくて、立派な民家が建っていた。

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