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第3341話 和尚さんの家で

4本当にあった怖い名無し:2015/01/28(水) 11:52:48 ID:3AgiQuhE0
祖父が眠っているお墓が、山の中のお寺にある。
苔むした階段を上った先、季節の木々に囲まれた白い砂利の上に本堂があって、
春は桜に、秋はススキ、ちょっとした庭園みたいで、外国人の友達ができたら
まず真っ先に連れていこうと思ってた位、和っぽくて不思議な雰囲気のお寺。
ある時、いつものように家族で墓参りに行き、
本堂横の和尚さん宅にご挨拶をしに行った。
当時高校生だった私が、歓談を親に任せて軒先でぼんやりしていると、
かすかに笛の音が聞こえてくる。
黙ってじっと聞いていると、どうやら雅楽の音っぽい。
(あの「ふぁ~んチャラリ~♪」みたいな音)
なんとなく扉がしまった本堂の中から聞こえてくるように思われて、
「(へぇ、雅楽は神社ってイメージだったけどお寺でもやるんだなあ)」
なんて思い「今日は雅楽隊の方でも来てるんですか?」と聞いた。
お囃子の練習みたいに、本堂の中でお坊さんたちが練習してるのかと思って。
和尚さんキョトン。家族もキョトン。
なんか変な空気になってしまった私はあわてて、
「だって、ほら、音楽が…」
「音ォ~? …別にしないけど」怪訝そうな家族、
首をかしげ「ん?」と不思議そうにニコニコしてる和尚さん。
そのまま流され和やか~に一同は歓談にもどったけど、
私は狐につままれたような気持ちで、話が終わるまでその音に聞き入ってた。
何だったんだろ。

あともう一個、また別の時。
和尚さん家の玄関前には飛び石がある。
そこに、小さい虹が落ちていた。
虹っていっても別にアーチ状じゃない、10円玉を楕円にした大きさのやつ。
よくペットボトルとか、自転車の反射板とかでできるやつ、
見たことあるんじゃないかな。
やっぱり歓談の間、暇を持て余していた私は飛び石の上の虹に気が付き、
上に手をおいた。
あれって光の反射だから、上に手を置くと手の甲に虹が映るんだよね。
そのまま、上手い事手の甲に映したまま動いてくと、反射元にたどり着く。
別に光物なんて近くにないし、どっから反射してんのかな~
なんて不思議に思って。
でも上に手を置いたら、虹が隠れてしまった。手の甲に映ってこない。
初めての体験に「!??」となる私。すぐに、あ、じゃあこれペイント?
ふしぎな落書きだなぁ…なんて思っていると、すぐ横に和尚さんがやってきた。
「どうしたのー?」なんていわれたので、上記の経緯をざっと説明。
和尚さんも私の横に座り込んで不思議そうな顔で手のひらを何度もかざし、
手の甲に映ってこない虹を見ては「不思議だねぇ」と首をかしげてた。
お墓まいりの度、何度かごあいさつに行ったけど
飛び石に虹があったのはその時だけだった。

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