第3241話 千円札とおじさん（その2）

「初めまして」と挨拶をすると、奥さんが旦那さんを見ながらこう言った。
「この人ね、あんまりこういう場所で女の子を呼んだりする人じゃないの。でもちょっとあなた気になるから。大事な話をするからよく聞いて。」

すると、「大事なのはここからだ。」と旦那さんは少し怖い表情になった。

私がその千円札を受け取ると、絶対使うんじゃないと念をおされ、
夫婦は帰って行った。

N市へ続く山道で、ふと旦那さんの言葉を思い出し、少し胸騒ぎがしていた。
そしてN市に入った瞬間、対向車のトラックがこちらへ向かって来た。

まず彼氏の元カノが急にM県に戻って来て、彼氏とよりを戻した。
結婚前提だった事もあり、マンション、家具は全て彼氏が用意したものだった為、住むところさえ失った。

が、田舎者丸出しの私たちは、ヤクザの誘いにまんまと騙され、挙げ句の果て監禁された。

その後、警察や協力者のお陰で無事M県に戻れたのは1年後の事だった。

街の人の話では、ママが外国人の彼氏と逃げて、お店もなくなったとの事だった。

も一度あの旦那さんに会いたいです

ただ、今まであんな不思議な人に会った事がなかったので、また会ってみたいなと思ってしまいました

忠告を守った人は、災禍を逃れるので予言は嘘か冗談だったと思うようになる
予言自体がなかったことになるわけだ
あの人は失礼な事を言うウソつきだよ、と･･･

ホンモノはよほどのことがないと本人には告げなくなるんだよ