地元でもちょっと有名な廃屋に肝試しに行こうって話になり、
俺含め男3人で深夜に友達の運転する車で向かったんです。
その廃屋は母屋とは別に蔵みたいなのがあって、俺らは母屋の方を探索して雰囲気を味わってた。
廃屋だし雰囲気あったし恐かったけど、別に特に何も起きたりする事もなく、
「そろそろ帰るか」 って事になったんです。
そうしたら友達が「あの蔵に入れるのかな」とか言ったので蔵の方に行った訳です。だけど、錠があって入れないようになってました。
ところが、友達が錠をいじると、きちっと錠がかかってなかったのか錠が外れて入れるようになったんです。
せっかく開いたんだし入ろうって話になり、蔵に入りました。
蔵の中は荒れ放題だった母屋とは違って、まるでまだ使われているかの如く、使われてないながらも綺麗な感じだったんですね。
俺はこの頃からなんとなく嫌~な感じがしていたんですが、他の友達がどんどん探索して行くのでついて行く様な感じでした。
1階を見て終わり、2階に上がると奥に掛け軸みたいな物が吊るされていたんですよ。
その掛け軸を懐中電灯で照らすと着物着た女性を描いた絵でした。しかし、どこかおかしいんです。
女性の絵の回りに血の様なモノが血痕の様に点々としていたし、よく見ると確かに着物着ている女性なのですが、武士の様に刀が描かれてたんです。
3人一致で何かやばそうだから帰ろうって蔵から出ようと1階に下りたんです。
扉は重く、また観音開きだったのですが、簡単に閉まる様なものではありませんでした。
この時点でもうパニックになってしまいました。さらに怖い事に扉が押しても引いても開かなかったのです。
なんでなんで?とか思いつつなんとか開けようとしていたら、友達の1人が悲鳴をあげました。
振り返ると、そこには先ほど2階で見た掛け軸に描かれていた女性そのものが立っていたのです。
霊の類のは縁が無かった俺でもその女性がこの世のものじゃないと言う事は一目で分かりました。
と言うのも、後ろが透けて見えたし、ライトの明かりもまた同じ。なのに、目からは血のようなモノを流していました。
もうとりあえず早く外に出たい。出ないとヤバイ。出たいのに、扉が開かない。
そんな事をしていると、その女性は音も無くすぅ~っと悲鳴をあげた友達に近づき、いきなり刀で友達の左腕を切りつけました。
扉をなんとか開けようとしてた俺ともう1人も友達はパニックの頂点に。でも扉はどうしても開かない。
そんな事をしているとその女性は睨むような目をこちらに向けてもう1人の友達のまたしても左腕に切りかかりました。
そして俺が睨まれました。女性はまた音も無く俺に近づくと、俺の左腕に切りかかってきました。俺の意識はそこで無くなりました。
廃屋の近くにあった駐車場に車を止めて探索に行ったんですが、他の2人もちゃんといました。
切りつけられたはずの左腕を見ましたが3人とも何もありませんでした。
急いで他2人の友達を起こし、そこから離れたコンビニに立ち寄った時、
やっと生きてるって実感が沸いて来ました。
完全に明るくなってその廃屋にまた行ったんですが、蔵の扉は完全に閉まっていました。
また蔵の錠は古く錆びれててまたしっかり締められてて開けれるような感じではありませんでした・・・。
この話には後日談があるんですが、そんな怖い思いをした事も忘れていたある日の晩、掛け軸の女性の夢を見たんです。
その翌日、俺は左腕を骨折してしまいました。
俺が左腕を骨折した翌日、学校に行くと廃屋に一緒に行った他の2人も左腕を骨折していました。
それぞれに聞いた所、理由はそれぞれ違ったものの、俺と同じく前日の晩に夢で掛け軸の女性が出てきたそうです。
あの掛け軸の女性はいったい何だったんでしょうか・・・?
あれ以来、左腕に何かあるって訳ではないのですが、俺が写真を撮ると変なモノがよく写る様になったのが不気味でなりません。