②亡くなったばあちゃん挨拶に来るの巻
もう10年以上前の話。同居の祖母が亡くなった。
その葬式が終わり、親戚が帰った後家族一同疲れが出て、居間でTV付けたまま居眠りしてた。
俺も居眠りしてたんだけど、廊下の向こうの仏間の引き戸が開く音で目が覚めた。
家族の誰かかな?と思って横になったまま部屋を見渡すと、全員居間で寝てる。
じゃあ誰よッ?って思った瞬間、自分の足元にある居間の入り口の戸が開いて、ばあちゃんが入ってきた。
俺の足元から少し横に寄って近づいてきて、少し笑うと手を出してきた。
家族を起こそうと思ったけど声が出ない。でも体は動く。
怖かったけど、こちらも手を差し出したら握手をして
『じゃあな、ばいばい』
って言って手を離して居間から出て行った。
その時TVはダウンタウンの番組をやってたのを覚えている。
ばあちゃんが部屋を出て行った後急激に眠気が差してほんの少しウトウトした。
そこでTVでダウンタウンががなり立てる声で再度目が覚めた。
ばあちゃんの件は俺が寝ぼけていたのだとは思うが、家族の寝てる配置や寝相は引き戸の開く音がして目が覚めた(と思ってる)時に確認したのとまったく同じ。
TVの出演者(ダウンタウン以外も)同じメンバーで番組の流れとしてはばあちゃんと挨拶をした時の流れが続いている感じだった。
普通に考えりゃ単に寝ぼけていただけ。寝ぼけた状態でTVの音声が耳に入り、視覚として家族の配置も認識してたってところなんだろう。
基本不思議な話は好きだけど、反面霊は信じちゃいない人間な俺としても、ばあちゃんがわざわざ挨拶に来てくれたんなら霊の存在を信じてもいいかな、って思った。
因みに、そうやって挨拶してったばあちゃん(但し俺が寝ぼけてたんでなければ、だが)。
バイバイしてった割には、その後数年間夜の廊下では、ばあちゃんの部屋から便所までの区間で、独特の癖のある足音が、俺を含めた家族達に聞かれている。