第3753話 ばあちゃんの幽霊

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749本当にあった怖い名無し2021/11/20(土) 23:46:57.58ID:PNmpnbvd0
ふと思い出して誰かに話したくなった。子供の頃、ばあちゃんの幽霊に触った時の話を書く。

中学1年生だった俺は、その日もいつもの一日を終えて眠りに落ちたのだが、珍しく深夜に目が覚めて、むくりと体を起こした。体感だけど、たぶん夜中の2時頃だったと思う。
4つ並べられた布団の端が俺で、反対側から父→母→弟、そして俺という並び方で寝ているのだが、寝ぼけ眼のまま周りを見渡したら、俺と弟の間に誰かが寝ていた。
(だれ?)と思いながら俺は部屋の奥に目をやり、家族の姿を確認した。父、母、弟……そしてこの人。一人多い。白髪の老婆で、顔も体も痩せこけていて、水色の着物のような服を着ていた。(誰だろ…)と思いながら、俺はむにゃむにゃとした意識のまま、その人の鼻のあたりをなんとなく撫でるように触った。それからまた睡魔が強まって、ぱたんと寝た。

翌朝、母が大慌てで出かける用意をしていた。父も心配そうに母に声をかけていた。異様な雰囲気を察した俺は足を止めて、なんとなく思ったことを言った。
「ばあちゃん死んだの?」
そしたら母はピタリと手を止めた後、こう言った。
「……お前なんで知っとんのや」
俺は返事をした。
「夜中に起きたんやけど、俺と弟の間に誰かおった」
返事を聞き終えた母は無言のまま、出かける準備を再開した。

俺は朝の出来事を頭の片隅に抱えながら学校へ行き、いつものように過ごした。
そして家に帰ったら、やっぱり、父からばあちゃんが死んだことを聞かされた。

後に知ったことだが、実はばあちゃんは数週間前から連絡が取れなくなっていて、母は毎日ばあちゃんの住むアパートに電話をかけていたそうだ。その様子なら一度見たことがあったが、まさか行方不明だなんて、俺は知らなかった。
そしてあの日の朝は、母は新聞を読んでいたら高齢者女性の遺体発見という小さな記事をみつけて、そこに書かれていた特徴がばあちゃんそのものだったから、大慌てで警察に行く支度をしていたらしい。
つまりその時点では「もしかしたらばあちゃんかも」という状態でしかなく、俺が「ばあちゃん死んだの」なんて言ったもんだから、めちゃくちゃ驚いたんだと。

750本当にあった怖い名無し2021/11/20(土) 23:53:34.74ID:PNmpnbvd0
>>749 続き

葬式会場では親戚の子供が「鏡に誰かおった」とか、「わしも階段の下で見たぞ」とか、ばあちゃんと思しき幽霊目撃談の話で盛り上がった。「逝く前に会いに来たんやねぇ」と、ほっこりした雰囲気のまま式は終わった。

後日談だが、母の頬にひっかいた傷を見つけた俺は「それどしたん?」と聞いたら母が青ざめてしまった。
ばあちゃんの出棺の時に母は最期にと顔に触ろうとしたら、親戚のおばばから「触ったら後で触りに来るからやめときな」と言われて手を止められたのだが、その時に腕をつかまれた反動で、爪の先でばあちゃんの頬をひっかいてしまったんだと。

実際にばあちゃんが触りに来たのか、心因的な要因でひっかき傷が浮かび上がっただけなのかはわからないけど、幽霊ってほんとにいるかもな、と思った出来事でした。

以上おしまい。読んでくれてありがと。

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