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第249話 風船

104 :あなたのうしろに名無しさんが・・・ :03/02/09 07:08
昔、風船に追い掛けられたことがある。
ほとんど物心がついたころだから、4、5歳くらいのことだろう。

田舎の古いうちで、どこかでもらってきたらしい、
顔の書いてある浮く風船で遊んでいた。

子供心に、なんとなくその風船の顔が気持悪くて、
遊んでいた部屋にその風船をのこして、隣の部屋に移った。

ところが、元の部屋に残したはずの風船がこちらに向き直って、
ランマをくぐってゆっくりと接近してくる。

急に怖くなって、ともかくこの風船を何とかしないとずっと追い掛けてくる
と思って、その風船を滅多に入ることのない祖母の部屋に閉じ込めることにした。

祖母の部屋は、普段からふすまで閉ざされていて、特にそこに行くこともなかったので、
私にとっては、なんとなく秘密めいた印象がある部屋だった。

いくらなんでも風船がふすまを開けることはできないだろうと思い、
風船のひもを持って、祖母の部屋のふすまを開く。
開けるやいなや、持っていた風船をその部屋に押し放ち、速攻でふすまを閉じた。

そのあとどうなったのか、今となってはさっぱり覚えていないが、
それ以来、顔のある造形物がすっかり苦手になってしまった。

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