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第265話 「ラッキー」

843 :1/3[sage] :03/03/17 23:56
 私は工務店に勤めておりまして、3年程前にある幼稚園へ、
バスの車庫を修理にいった時の事です。

 その幼稚園はお寺が経営していまして、車庫は園舎を横に
抜けた本堂裏の広場にありました。その広場は真ん中をバスが
通るために何も無く、邪魔にならない端の方にコンクリートを
おわん型に固めた直径3m位の遊具がある程度でした。

 朝8時半くらいに幼稚園に到着すると車庫の側にトラックを
止め、風で剥がれてしまったトタン屋根を直すべく準備を始め
ました。

 軒先下に足場を作り、さてトラックから屋根材を持ってこよう
と振り返ると遊具の所に10人ほどの園児が集まっています。

 幼稚園や小学校で作業をしていると、もの珍しさに子供たちが
集まって見ているというのはよくある事で、遊具から車庫までは
距離があるので危険は無いだろうと考え、足場の上に上がった時
の事です。

 「らぁっきぃーーー、らぁっきぃーーー」

 背後から園児たちの声が聞こえました。
 舌足らずで、間延びした声です。

845 :2/3[sage] :03/03/17 23:57
 「らぁっきぃーーー、らぁっきぃーーー」

 それは一人だけのものではありません。
 その場にいる園児たち全員が声を合わせているのでしょうか。

 何事だろうと振り返ると声がピタッと止まりました。
 何かの遊びなんだろうかと思いつつ、また作業に取り掛かると、
また「ラッキー」の連呼が始まります。

 「らぁっきぃーーー、らぁっきぃーーー」

 来る途中、幼稚園の庭に犬小屋があるのが見えましたから、
飼っている犬でも呼んでいるんだろう、と、遊具の方を振り返る
とまたピタッと「ラッキー」コールが止みます。

 周囲を見回してみましたが、その手のものは見当たりません。
 おかしな遊びがあるもんだと妙な違和感を感じつつ、手元に目を
やるとまた園児達の「ラッキー」コールが始まります。

846 :3/3[sage] :03/03/17 23:58
 「らぁっきぃーーー、らぁっきぃーーー」

 振り返ると、止まる。
 また作業に戻ると、

 「らぁっきぃーーー、らぁっきぃーーー」

 また始まる。
 ・・・どうも私がそちらを向いていない間はコールを続け、振り
返るのを合図にコールを止める様なルールにでもなっているんで
しょうか。
 10秒おきくらいに振り返るとその通りになっていました。

 何度も繰り返していて気がついたのですが、振り返ると遊具の上
に座り込んだ園児達は何事も無かったかのように、思い思いにあち
こちの方向に視線を飛ばしています。

 しかし、誰一人としてこちらを見ていません。
 まるで振り返った私から目を逸らしているみたいに。

 それに気がついて背中に寒気が走りました。
 なんか自分が見ていない間にだけ呪文を唱えるように繰り返さ
れる「ラッキー」コールに、私の方を見ようとしない園児達。
 それに何か異質なものを感じ、振り返るのが怖くなりました。

 やがて始業のチャイムが鳴り、彼らは遊具を飛び降りて園舎へ
戻っていきましたが、あの園児達の行動は一体なんだったのでしょ
うか?

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