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第317話 一本足

909 :あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] :03/07/11 02:01
小学5年の時の体験。
家の近くに「UFOの基地がある」と噂されている山があった。
実際その山の上空に奇妙な動きをする光の球を見た、という友人も複数人いた。そこで当
時、UFO博士を自認していた私は基地を見つけてやろうと「探険」を決行することにした。
当然友人たちには内緒である。自分ひとりで発見し後でみんなに自慢しようという非常に
幼稚な発想からだった。ある日曜の朝、ひとりで山を登り始めた。
この山は200mほどの高さで頂上に神社があるだけで、険しい場所もない小さななだら
かな山である。神社には山道が一本続いている。
私は山道をだらだら登っていった。中腹あたり。山道を登って行っても神社につくだけな
ので、道を外れ、山の中に踏みこんで行った。

しばらく木々の間をわけいりつつ歩いて行くと、急に妙な気配が漂っているのを感じた。
なんとも言えない嫌な気配。なにかが近づいてくる。音がするわけでもないし、臭いやな
にかがしたわけでもないのに、山の下の方からなにかが登って来る気配を感じた。
もし大人だったら…見つかったら怒られるかもしれないと思い、岩陰に隠れて様子をうか
がった。すると気配を感じた通りに下の方で音がした。木の葉(秋だった)を踏みしめる
音がする。やっぱり大人が登ってきたんだ、と私は身を小さくして隠れていた。
音が近づいて来るのを聞きながら、奇妙なことに気がついた。足音が変なのだ。普通、大
人が登ってきたのならかさっ、かさっという感じでリズムよく登って来るはずなのに、こ
の音は一度かさっと木の葉を踏みしめた後、しばらく間があいてからもう一度かさっ、と
音がする。そう、ちょうど一本足でけんけん飛びでもしながら登って来るような音だった。
私はパニックになってしまった。なにものが登って来るのか確かめたかったのは確かめた
かったのだが、人間じゃない、なんかへんなものが登って来るのだ。これは絶対見つかっ
てはいけないと口を手で必死に押さえじっとしていた。

910 :あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] :03/07/11 02:02
つづき。やがて足音は私の隠れる岩の少しむこうを通りすぎて行った。私には気づかなかったよう
だ。足音が山頂の方向へ去って行ったのを確かめてから私は岩陰からそろそろと這い出た。
そして山の上の方を見た。……いた。山頂にむかって一本足で登って行く影。ゆらゆらと
体全体をくねらせながらぽーん、とジャンプするように登って行く影をわたしは見てしま
った。すぐにその影は木々の間に消えて見えなくなってしまったが、まちがいなく一本足
だった。

怖いというのも通りすぎて錯乱状態のようになりながら私は山を駆け下りていった。その
日の夜には発熱までして数日小学校を休む羽目にまでなった。…あれがなんだったのか、
いまだに説明がつかない。

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