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第306話 煙草

259 :あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] :03/06/22 10:38
子供の頃、田舎のおじいちゃんの家で、ひと夏過ごした事がある。
ある日、沢までわさびを取りに山の奥までおじいちゃんと行った時のこと。
町の人がその場所まで分け入った細い道が出来ている。
季節は夏で、青々とした雑草やらシダやらが、その細い道を覆っているが
踏み込んだ後が見える道だった。
行きは30分くらいで沢まで着き、わさびを食べる分だけ取ってくる。根わさびは、しょう油か味噌と混ぜ合わせて
熱々のごはんに乗っけて食べると格別の美味しさなんだけど
まぁそれは置いといて…。

そろそろ帰ろうと元来た道を引き返した。
が…、1時間歩いても家に帰れない。

細い道を辿って、というか道はちゃんと合ってる。
目立つ木の位置も、群生してる花の位置もそのまま。
迷った?でもそんな事ありえない、おじいちゃんは山歩きが趣味で
この辺りはいわば庭みたいなものだ。

おじいちゃんは、立ち止まって適当な木の下に腰を下ろした。
「心配すんな、こういうのはたまにある」
そう言うと、煙草を一本吸い出した。
プカーと煙を吐き出し終わると、ドッコイショと言いながら立ち上がり
また歩き出した。
俺は、幼いながらも何だか釈然としない気分でいた。
きっと変な顔をしていたんだろう。
おじいちゃんが俺に言った。
「煙を出すとちゃんと帰れるからな~」

その後、10分ほど歩いてちゃんと家に着いた。

260 :あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] :03/06/22 10:48
>>259
ウ、ウマソウ…(;´Д`) というのはさておき、煙草に「邪を祓う」効果がある、ってのは聞いたことあるな。
「こういうのはたまにある」と平然と言い放つじいちゃん、すげぇ。
怪異現象じゃなくて、日常なんだな。
261 :あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] :03/06/22 10:53
>>259
うわぁ、不思議なんだけど、それ以上に映画の一場面みたいで(・∀・)イイ!!話だ。
煙って、狸や狐を化かし返すって意味なのかな。
262 :あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] :03/06/22 11:49
水木しげるの本にあったような気がするムジナだったかな
「ばかされてる」と感じたら煙草に火をつけるとどこかで「ぎゃー」と
叫び声がして、まわりが急に明るくなり家に帰れたとか
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