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第490話 ブランコ

566 :本当にあった怖い名無し[sage] :05/03/15 13:32:31 ID:o8CLkuwg0
俺が高校生の時に夜の10時くらいに友人を友人宅に送った時の事。
ちょうど友人宅の前に着き、ちょっと軽く話をしていたら、どこ
からか「キィ・・・キィ・・・」と音がしてきた。
二人とも顔を合わせ不思議に思ったが、その音はとても聞き覚えの
ある音で誰しもが聞いた事があるだろう音だったので恐怖感はなかった。
その音とはブランコのこぐ音だ。しかも結構近いところから音がしてる。
姿が見えないで音だけすると気になるもので、二人で近くの公園に行った。
しかし、ブランコは動いていない。音は横の方からまだ響いてる。
「この公園ではないな」というところで、友人は女の子だし連れ回すのも
どうかと思い、ひとまず家に帰した。

しかし一人になってよくよく考えると、時間的に夜の11時を回ってる。
こんな夜にブランコ?と考えると少々の恐怖がよぎった。
その恐怖心よりもどこからなってる?誰が?という好奇心が上回り
俺は一人で音の元を探す事にした。
(というか帰る方向と音がする方とが同じだったからだと思う)

569 :566[sage] :05/03/15 14:49:56 ID:o8CLkuwg0
遅レスごめん
>>566の続きです。

友人の家はアパート群の中なのでとにかく広い所に出て正確な音の
出所を探ろうとして、広い道へ向かった。
その間、ブランコがある公園という公園を頭の中でひたすら探った
けどどうしても音がする方向と合わない。
ずーーっと考えてたけど、とりあえず国道へ出よう!出れば判る!
と思った瞬間、「国道沿いに学校」があったのを思い出した。
国道に面する方向にグランドがあり、一番国道沿いには金網がある。
その金網のすぐ後ろにブランコと滑り台があったはず!

そう思った俺は、国道へ向かった。
音は間違いなくその方向だ。というかそれ以外ありえないという
確信すらもってた。で、国道へ出てみると思ったとおり。
道路挟んで向こうの方から音がしていた。
田舎なので夜の国道は殆ど車が通らない。だけど明るい。
そのせいもあって、その音に近づいているのに恐怖はなかった。
俺の中で勝手に「明るい=幽霊でにくい」という図式が・・・。

国道を渡って、金網に沿うように自転車をこぐ・・・。
ここまで来ると100%学校のブランコから音がしてるとわかる。
そしてまた冷静に考えた。
ブランコが動いてる=人がのってる。
誰か乗ってても怖いし、むしろ乗ってなかったら霊確定なので危険。
ちょっと躊躇しだした俺の後押しをしたのは前方から来た車の群れ。
5~6台はまとまって向かってくる。これなら怖くない!
現金な俺はそこで一気にブランコが目視出来る場所までダッシュした。
当然、前から来た車が自分を通り過ぎる前に確認したかったからだ。

571 :566[sage] :05/03/15 16:05:02 ID:o8CLkuwg0
急いで確認しにいくと不意に大揺れしているブランコが目に入った。
やはり音がしていたのはここのブランコだった。
ブランコには女の子が一人。服装から髪型まではっきり判る。
白いワンピースに肩より少し下に長いストレートの髪の小学生くらいの
女の子。怖い感じもなく、紛れも無く人間だろ、コレは・・・
と疑いようの無いほどはっきり見えるし足も当然ある。怖い感じもしない。
と思ったのもつかの間。よくよく考えてみると・・・
その学校のそのブランコにたどり着くには学校の正門から入って暗く広い
グランドを縦断しなければ辿り付かない。その上、少女一人で?
金網よじ登った?いや、俺でもちょっと怖いぞ、この高さは・・・。
ちょっと常識的に考えにくい状況になってきた途端に怖くなってきた。
夜中に少女一人?暗いグランドに少女一人で入った?金網よじ登ったの?
まさか。それとも金網のどこかに穴が?でも探すにも暗すぎて怖い。
どうにも現実的じゃなくなってきた。希望の光であった車の群もいつの間
にか過ぎ去って音もしない。

・・・怖い。
しかも少女のこぐブランコ、いつの間にか、ほぼ90度くらいまで勢いがある。
確かに子供の頃調子に乗ってぶん回したけど、あんな角度までこげるか!?
女の子だぞ!?
そして、女の子の体が揺れてない・・・。
あんだけの勢いつけたら体で反動つけないとすぐに勢いが弱まるはずだ。
体が・・・動いていない。なんでブランコこげるの?
どうやって動かしてるんだよ・・・。

576 :566[sage] :05/03/15 16:47:32 ID:o8CLkuwg0
逃げよう。このまま見てるいずれ振り向きそうだ。
だけど、なぜか目が離せない。早く逃げろよ!
心の中で何度も言い聞かせた。だけどどうにも凝視してしまう。
その時、救急車が通った。サイレンの音と共に金縛りとはいえないが
縛られてたものが解かれたような感じですぐに俺は逃げ出した。

・・・その後、すぐにその学校卒業の友人におもむろに
「幽霊って見た事ある?」と尋ねてみた。
友人は「いや、見た事ないな」と。何となくホッとしたが、友人は
続けて「俺は見てないけど、昔『学校で幽霊騒動』があったな」と言いだした。
「それ、どんなん?怖いの?」と俺は友人に聞いた。

昔「学校キャンプ」なる、学校の教室に寝泊りして、擬似的に
キャンプ実習を行うというイベントがあったらしく、その時に
起こったという事件の話だった。

「あれね、俺らのクラスで寝泊りした時に誰かが悲鳴あげたんだよ。
で、どうした?って聞いたら左の方の入り口を指差して、左から右へ
誰かが横切ったって言い出したんだ。その手の話を小学生にしたら
男子は喜んじゃってさ。左から右に横切ったらしいから右にある入り口
を見てれば通るんじゃないか?って騒ぎになってさ。起きてる連中が
右の入り口を見た瞬間、右から左へホントに人が横切ったんだとさ。」

俺は聞いた。「それってどんな人?大人?男?」
多分無意識に自分がみたモノと逆パターンの質問をしたんだと思う。
友人の答えは、そんな俺の思考を見事に裏切った。
「あー、なんだっけな。『髪が短い』女の子で白いワンピース着てたって
話だった気がするけどな。」

・・・髪伸びるんかい。

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