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第605話 いなくなった女の子

412 :本当にあった怖い名無し :2005/08/20(土) 01:28:21 ID:bwHRY/c80
先週の土曜日の職場にて。
職場は小さな店である。
入り口は右と左、2つあるんだけど、私達店員のいるカウンター・作業場から2mくらいしか離れていないし
呼び鈴が鳴るのでお客さんが来たらすぐに分かる。
左側の入り口は小さな商品棚、右側の入り口にはカウンターにそれぞれ面している。
カウンターから商品棚は置いてある機材と角度の関係で、丁度死角になってる。

その日、左の入り口からお客が入ってきた。小学校高学年くらいの女の子だった。
その時、店にいたのは私と同僚の2人。
お客さんが来たので「いらっしゃいませー」と2人で声をかけた。
その間に入り口の自動ドアは閉まり、彼女は商品棚に向かった。
あぁ商品欲しいんだな、って思って、彼女が商品を持ってくるのをカウンターで待っていた私。
同僚はカウンターの後ろの作業場で作業をしている。
ところが、待てども待てども彼女はやって来ない。
っていうか、人がいるような気配が感じられない。
気配のことは気のせいだろうと思ったが、いかんせん遅い…でももう少し待ってみることにした。
商品を長いこと選んでるお客さんってのは結構いるから。
でも、もう5分以上彼女は商品棚の前に陣取っていることになる。
30秒ほどで見渡せてしまうような商品棚なんだから、これは遅すぎると思い
カウンターを抜けて見に行ったら…商品棚の前、誰もいなかったんだ。
目の前の光景が信じられなくて同僚に言った。
「今お客さん来てたよね?女の子、来たよね?」
「うん、来た来た。どうしたの?」
「…誰もいないんだけど」
「え…」
店に入って来たんだから、いないってことは出て行ったんだろう。
店は狭い。お客さんの入るスペースは商品棚とカウンターの前しかない。
店の入り口はカウンターから見渡せる。
私はカウンターにずっと立っていた。彼女が出て行ったらすぐに分かるはずなのだ。
だけど私が立っていた間、入り口は開いていない。誰も出入りしていない。
あれは一体何だったんだろう。

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