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第611話 氏神さんの裏で

617 :本当にあった怖い名無し[sage] :2005/08/29(月) 21:27:14 ID:v+i7a1Yl0
子供の頃、夏休みに父方の祖母の家に行くのが恒例だった。
ある年、近所の氏神さんに遊びに行く途中の農道で、同年代の子供と出くわした。
ずっと一人で遊んでいたので、連れができたのがうれしくて、一緒に氏神さんの
裏の林で虫取りしたりして遊んでた。

あたりが暗くなってきたのと、疲れたので、そろそろ帰るとその子に言うと、
まだ時間が早いよって何度も引きとめられた。
何度目か引き止められた時、お腹もすいたしと思って
「今日おばあちゃんがカレー作ってくれる、早く帰りたい」
と言うと、その子はあきらめたような顔をして
「明日また遊んで。どこの家にいるの」
って聞かれた。
祖母の家を教えて、分かれてしばらく歩いていると、氏神さんのうらで遊んでたは
ずなのに、ぜんぜん知らないところへ出た。
しかも、さっきまで夕日が差してたのに真っ暗。
慌てて夜道を走り回って見知った道まで出たら、近所のおばさんがこわばった
顔で声を掛けてきた。
なかなか帰らないので、近所の人が総出で私のことを探してた。
時間を聞くと、夜の11時。
家に帰って顛末を話すると、真っ青になった祖母が、お守りみたいなのを
私の首からさげ、手のひらとか背中とかに墨汁で字を書いた。
それから、家に帰るまで、一人で外出はさせてもらえなかった。

あの女の子はいったいなんだったんだろうな、と今になって思う。

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