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第722話 ドッペルゲンガー(8)

978 :本当にあった怖い名無し[sage] :2006/01/30(月) 01:28:00 ID:+aCFWbZl0
以前、職場の近くには、もう一人の”俺”がいた。2年ほど前のある日、20年来の付き合いの、当時は統轄部にいたO上司から電話。
「今朝はどうしたんだ?俺に挨拶も無しなのか?」
「今朝って、僕は早番で朝から仕事で。お会いしましたっけ?」
「えっ、朝、銀行で君を見たんだけれど…」
“俺”は猫背だし、鞄の持ち方も独特だ。見間違う事はないだろう。
しかも20年の付き合いがある人が…?

電話を切って、茶を飲みながら、笑い話としてN上司に話した。
「いや、Oさん、今朝、銀行で僕を見たそうで。ボケたんですかね?」
「え、そう言えば、君のそっくりさん、いるよ」
「へっ!?」
Nさんも時々、職場界隈で”俺”を見ているのだそうだ。
猫背の具合も前傾姿勢での歩き方もそっくりとの事。
俺は、OさんとNさんは親しいし、口裏でも合わせているのだと思っていた。

それから、時々目撃報告を聞きながら1年ほど経ったある日。
Nさんの車に乗せて貰って買い物に行った帰り道だった。
「いたよ、あっち」とNさん。
Nさんの言った方を見ると、そこには”俺”がいた。
猫背の具合も前傾姿勢での歩き方も、鞄の持ち方まで”俺”そのもの…。
「”俺”って、実は2人いたんですねぇ」
困惑した俺は、そう言うのが精一杯で、頭の中は???だった。

さて、そんなに多くは無かった”俺”の目撃報告。
しかし、それは”俺”が”俺”を見た日を最後に止まってしまった。
そんな後日談も併せて、今改めて不思議な事だと思っている。

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