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第782話 風鈴

306 :本当にあった怖い名無し[sage] :2006/04/03(月) 14:02:25 ID:ZPTxEvhx0
むかし、夏休みにじいちゃんの田舎行って、
絵に描いたよーな涼しい縁側で、かき氷出してもらった事がある。
夕方くらいは、急に気温が下がって、風も拭いてきてすごくキモチのいい時間帯。
そこで食う氷やスイカはサイコーでさ。
東京行ったとき、浅草で買ったという自慢の風鈴も鳴っていた。
じいちゃんによると、その浅草の風鈴は、昔ながらの手法で作っていて、
ガラスの質が違うので、音が低いのだという。俺はよくワカランかったけど。
で、その時、じいちゃんたちは家の中にひっこんでて、縁側は俺一人だったのね。
風鈴の音だけがいい感じで響いてたんだけど、ふと見上げたときに、
風鈴が「ああ、しんどいわ」と言った。
何か、魚屋の呼び込みのオヤジの声みたいなダミ声で。
他にはあたりにはネコの子一匹いなかったわけだし、びっくりして
その後も耳をすましてたが、音といえば本当にその風鈴の鳴る音だけ。
風鈴も疲れるんだな、と思った。今だにその声、耳にこびりついてるよ。
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