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第797話 父の車

74 :1/2[sage] :2006/05/17(水) 19:06:50 ID:yI/V6zRx0
数年前の話。
その日私は祖母の家に行くため、朝7時ごろ母と一緒に家を出た。
すると、父の車が無かったので、母と
「もう出かけたんだ、早いねー。」などと話していた。
(その日父は釣りに行くと言っていたので。)

そして午後になり家に戻ると、父の車があった。
「ああ、お父さん帰ってきたんだ。」と思い家に入ると誰もいない。
「あれ?どこ行ったんだろ」と母と言っていると
父が玄関から「ただいま」と入ってきた。

どこに行ってたのかと聞くと、「釣りに行ってて今帰ってきた。」という。
釣りから帰って、またどこかに出かけていたのか?と聞くと、
「どこにも行ってない。たった今釣りから帰ってきた。
Aさん(父の友人)に送ってもらったんだよ。今日はAさんの車で行ったから。」

ここで私と母は顔を見合わせた。
Aさんの車で行った?じゃあ今朝車がなかったのはなぜ?
父曰く、今日は自分の車には乗ってないし、
車が無いわけは無い、何かの見間違いじゃないのか、と。
狭い駐車スペースの中、車があるか無いか見間違えるわけがない・・・。
しかも、私と母の2人が確認している。
そして午後、車はいつもの駐車場所に止まっていた。

75 :2/2[sage] :2006/05/17(水) 19:07:59 ID:yI/V6zRx0
どう考えても変だ!!と話していると、突然3人とも物凄い寒気に襲われた。
全身鳥肌が立ち、「うわ、何だこれ」と思ったと同時に、
当時室内で飼っていた犬が外に向かって吼え始めた。
庭には防犯のために砂利を敷き詰めていたのだが、
「ザリッ、ザリッ」と、人が歩く音がしていた。
犬はその音のする方する方に走っては吼えていた。

誰かいるのかと私が近づいていくと、音が消え、犬が吼えるのをやめた。
犬は、「あれ?」といった風にとまどっているようだった。

家の構造上、庭に回るにはまず玄関前の砂利を通っていかなければならない。
でも、玄関付近にいた私達3人はそんな音は聞いていない。
砂利を踏む音は突然庭に現れたのだった。
そして、庭から外へは出られないし、もちろん外から庭にも入れない。
(もし出られても深さ2メートルはある溝に落ちる。)

3人ともしばらく寒気が止まらなかった。
その後とくになにか起こったということは無いけど、
未だになんだったのか解らない、不思議な体験でした。

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