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第937話 修羅場の妖精さん

429 :本当にあった怖い名無し[sage] :2007/02/19(月) 06:36:37 ID:IVYyX7pu0
年末年始あった驚きの体験。
その日、私は締め切り迫った原稿を前にネタが出てこなくて困ってたんだけど、
ふと気付いたら、作業用の小テーブルの端に男の子が立ってこっちを見てた。
真夜中に、一人暮らしの女の部屋にいるという以外は別に変わったところもない子で、
ぽかんとしてる私に「手伝ってあげようか」って言ってきた。返事をしなかったから二、三回。
そのうち寝不足も手伝ってか、これがきっと修羅場の妖精さんなんだって思って、
「手伝っちゃだめ?」って質問にぜひ!って返事した。
だけど妖精、妖精!と半分おかしい人みたいに思っても、体育座りしてるだけで何もしてくれないし、
まあいいや、ほっとこうと思って原稿に向かった瞬間、
それこそ溢れるようにネタが湧いてきて、これはいい!と全部メモした。
それでもまだまだ出てくる。ついには原稿の裏まで使って書きとめて、ほっと顔を上げたら、
その子がじーっとこっちを見てて「本できそう?」って聞いてきた。
余ってたページどころかあと五、六冊ほどできそうで、嬉しさのあまりハイになって
「うんうんできる。いっぱい!」って言ったら、よかったってにっこり笑ってすうっと消えた。
これは事件だーって、同じように修羅場だった友達に電話したら、
ものすごく冷静な声で「いいから寝ろ」と言われて電話を置いた後記憶がない。
気がついたら午前十時だった。夢かと思ってテーブル見てびっくり。メモが全部あった。二度目のびっくりは新年明けて、彼氏の実家に遊びに行った時。
アルバム見てたら妖精さんがいた。彼氏の子供の頃とそっくりなんだ。顔も髪型も。
私がじっくり見てたら「俺、かわいいだろー」って上機嫌なってたけど、さすがに言えなかった。
ただ、年末原稿かかりっきりでデートのお誘い何回も断ってたから、
寂しくって早く上がるよう手伝いにきてくれたのかな、と今は思ってる。
ちなみに私、そのアルバム見るまで、彼氏の子供の頃なんて見たことなかった。
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