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第965話 落ち武者

605 :本当にあった怖い名無し[sage] :2007/05/30(水) 12:28:21 ID:i3RgJz5L0
とんだチキン能力者の話を一つ。
俺の友人にとても霊感が強いヤツがいた。ただ強いだけでなく、側にいる人間(全員で
はないが)も見えてしまう程だ。
俺が霊感少年ウラと出会ったのは中学のときその頃からそう言う意味で有名だった。
中2で同じクラスになり、好奇心旺盛な俺は早速話しかけ一緒に霊所スポットへ行か
ないか?とさそったのだが、ウラは見える能力のせいか自分からそう言った場所には
けして近づこうとはせず、それどころかかなりのチキン野郎だった。
でも、どうしても自分の目で幽霊が見たかった俺は夕方ウラを遊びに誘い男子数人と
首つりがあったと言われる公園へとうまく誘い出す事に成功した。
暫く公園をうろついたが霊なんて出る気配は無く、諦めかけていたとき「あ~あやっ
ぱり幽霊なんて出ないな」誰かがポロっと言ってしまいウラに今日の計画がばれてし
まった。最初はふてくされていたウラだったが「全然恐い感じしないし、みんないるか
ら今日は出ないよ」とウラが言ったのでその日は帰る事にした、所がネタを証しても
怖がらないウラが面白くなかったのか、幽霊が出ないからか、みんなでウラをからか
い出した…。
「ここは落ち武者の霊も出るって有名なんだぜ~」と俺が言うと面白いくらいに怖が
るのでみんなでどんどん話しを大きくしていった「…それで、血を流した落ち武者が
手招きを…」「やめてよ…やめてよ」怖がるウラを見てウシシと笑っていると「なぁあ
れ何だろう?」木陰のすみを指して誰かが言った…「え?何々?わかんないよ」中には
見えていないヤツもいたが俺と最初に見つけたコウジにはハッキリと手招きする血
まみれの武者が見えた。
それを見て大声で叫んだウラを合図にパニックになり皆散り散りにその場を逃げ出
した。俺は次の日知恵熱を出し学校を2日も休んでしまった、2日目の夕方学校帰りの
コウジがお見舞いに来てくれた。
606 :本当にあった怖い名無し[sage] :2007/05/30(水) 12:30:51 ID:i3RgJz5L0
俺が呪われたのでは?と心配したらしいが俺自身はすっかり元気になっていた、話題
はもちろん公園の落ち武者…コウジは酷く怯えていたが俺は思ったより平気だった、
それどころか何か引っかかっていた。
「それでさ、学校は落ち武者の霊の話しで持ちきりで、落ち武者の伝説がいっぱい出て
きてさ俺なんて見ちゃってるから恐くて話題に入れなかったよ…ウラなんて超チキン
じゃん?びびりまくって学校早退してたよ」
コウジの話を聞いて無理矢理連れて行った事を改めて悪く思いながらコウジと落ち武
者について話し合っていてある事に気づいた。
コウジが見ていた落ち武者と俺が見た落ち武者が違っていたのだ、「首が無くて全身
血まみれ、大きく手を振っていた」とコウジは言ったが俺が見た落ち武者は顔が合った
し、手招きは指だけだった。そして幽霊を見たと言うことで忘れていたが「落ち武者」は
あのとき俺が付いた嘘だった事を思い出した…落ち武者何ているわけ無いのに俺たち
は落ち武者を目撃した。

この謎が解明されたのは数ヶ月後の廃病院での事件の後。話しが長くなるので端折ら
せてもらうが、ウラは霊能力者では無く超能力者だった。自分自身に「幽霊がいる」と
言う暗示をかけ、パニックになるとその暗示が回りに伝染するのだ。見ている幻覚は
個々がイメージした霊なので姿はバラバラ。「落ち武者」と全員にポイントが伝達され
ていれば個々がイメージした「落ち武者」が見えるのだった。
ウラのこの能力に俺とコウジは卒業までよく振り回された、その話をまたの機会に
書きたいと思います。
それでは…。

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