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第96話 蔵

19 :あなたのうしろに名無しさんが・・・ :02/06/09 18:29
学生のとき、友人と民宿に泊った。
そこは古い民家みたいなところで、母屋の隣にでかい蔵があった。
で、民宿のばあちゃんが言うにはその蔵には神様が祀ってあるから
入るなとのこと。
そんなこと言われると、入ってみたくなるのが人情ってもんで、
例に漏れず友人と連れ立ってこっそり蔵の中をのぞいてみた。

覗いた僕らは唖然とした。
蔵の内壁には伊勢神宮にあるような神代文字?が赤い塗料でびっしりと
書きこまれており、そこかしこにお札が貼ってあった。

で、やばいと感じた僕らはそそくさと部屋に戻り、
その後は飯食って酒を飲んでた。

そうして夜も更けた頃、
蔵の方から突然ばんばん!!ばんばん!!と、音がする。
蔵の扉をたたいているような音だった。
不審に思った僕らは泊っていた母屋の2階から蔵のほうを見てみた。
蔵の扉は内側から強い力で叩かれ、叩かれるたびにすごい音をたてていた。
僕たちはその光景を呆然と眺めていた。

すると突然、蔵の扉がばん!!と開き、中から人影が飛び出してきて
あっという間に外に走り去ってしまった。

目の錯覚かと思った。 見間違いかと思った。

蔵から走り出てきたのは、
犬の頭部を持った人間だったからだ。

その後、祟りなんてものには全くあっていない。
ただ、その地方に犬神っていう神様がいることだけは何かで聞いた。

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