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第1046話 ホームレスのおっさん

494 :1[sage] :2007/10/30(火) 00:46:32 ID:BJC4Encr0
さっきあった話です。会社の仕事が忙しく、十時過ぎになってやっと帰れた。
何か作る気にもなれなかったから、途中でコンビニに寄って、適当な食べ物を買った。
余りにも疲れていたからうっかり寄ってしまったが
私はここ半年ほど、実はそのコンビニを避けていた。
そのコンビニには時々、ホームレスと思しきおっさんが来ている。
牛乳を一本だけ買うと、コンビニの外の、ぎりぎり光が当たる隅っこに立って
牛乳を飲んでいる。ホームレス狩りが恐いのかもしれない。
いつも物凄くおどおどびくびくしていて、
一度私が彼の隣に止めておいた自転車を取るために近寄った所
のけぞって逃げ出した挙げ句後頭部からすっ転んだ事がある。
私は申し訳なく思い、直ぐさま、コンビニの中に入り牛乳をあるだけ買うと外に出て
ビニールに包んだまま、目もあわせずホームレスおっさんの横に置き
自転車を立ち漕ぎしてその場から去った。
申し訳なく思っていたとは言え、私は彼と何かの関係を持ちたい訳でもなかった。
次に会った時、その事で話しかけられでもしたら面倒だと思い
自然、そこのコンビニから足が遠のくようになっていたのだ。
で、さっきの話に戻る。半年ぶりにコンビニに行ったら、そのおっさんがいた。
しかも私をじっと見ている。
私は買うものを買うと、急いで外に出て、そのまま彼の横を擦り抜けて
走って立ち去ろうとした。
すると彼は出し抜けに、「とらちゃん(仮名)は天国にいるよ」と言った。
495 :2[sage] :2007/10/30(火) 00:47:36 ID:BJC4Encr0
とらちゃんと言うのは、私の母の猫だ。
母は数年前死に、残された猫を私が引き取った。
年老いた猫というのは中々面倒で、
歯磨きしてやっても口臭はひどいわ
トイレ以外に粗相をするわ、しかも粗相をする時踏ん張るからついでに吐くわ、
最後の二年間は、普通に介護していたようなものだった。
けれど、父も母ももう死んだ私にとってただ一人の家族だったから
私はとらちゃんを大事にし続けた。
私は余り器用ではなく、友達も恋人もいないから
とらちゃんだけが愛情を注げる相手だった。
自由になれるお金は全部とらちゃんに使った。
ネットで調べたベストと思われるペットフードを買いに遠征したり
頻繁に病院に行ったり、部屋をあったかく改装したが
年には勝てずに、とらちゃんは去年死んだ。
家族が死んだときと同じくらい悲しかったが、誰にも言えなかった。
私以外に取ってはたかだが猫だからだ。ホームレスのおっさんは、その私の猫の名前を私に言った。
496 :3[sage] :2007/10/30(火) 00:49:04 ID:BJC4Encr0
何かの間違いかと思ったが、
(こういう言い方は失礼だけど)強烈な口臭といっしょに聞こえたので
ホームレスのおっさんが何かの発言をした事はまちがいないと思う。
疲れていたし、へこんでいたので聞き間違いかもしれない。
だけど「とらちゃん」という名前は耳馴染んでいたので
中々聞き間違えないと思う。
ちなみにチキンなので、おっさんの方を見る事もせず
そのままダッシュで帰って来た。
そして2ちゃんで、この話を聞いてもらえそうな所を探し
今こうやって書いている。
聞いてくれる家族なり友達なりがいれば良いと思うのだが
どっちもいないので、誰かに聞いてほしかった。
泣きながら書いているので、破綻があったら申し訳ない。不思議と言うか、不思議なんだけど、
聞き間違いの可能性が高い事は分かっているんだけど、
今しばらくぶりに幸せな気分でいます。
以上です。
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