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第1285話 忘れ物の神様

614 :本当にあった怖い名無し[sage] :2008/11/30(日) 01:53:49 ID:EGiMp9IfO
今の今起こった出来事。
俺は仕事柄いつも夕飯が遅い。うちの近所に中華屋があるんだが、こんな時間まで開いてるのはそこくらいしか無くて結構重宝してる。週3~4回のペースでもう2年くらい通ってるがこんな事は初めてだった。

いつものように俺が中華屋に入ると、普段ガラガラな店のカウンターに物が置いてある。一つは椅子の上にハンドバッグ。もう一つはテーブルの上に携帯。
「誰か席とってトイレでも行ってんのかな。繁盛してないこの店で珍しいこった。」
くらいに考えて煙草に火を着けていると、ガラガラと店の戸が開いて若い女が入ってきた。チラと見ると少し恥ずかしそうな顔でハンドバッグを取り、出ていく。あぁ、忘れ物か、なるほど。なんて考えてると、また戸がガラガラ。今度は若い男だ。
「はは、ちょっと忘れ物を…」
なんて言いながら携帯を取って出ていく。2連続なんて珍しい事もあるんだね、と店主に話しかけてみたら
「さっきも携帯忘れてった人が居ましてね、預かってるんですよ」
との事。そうこうしてるうちに飯も出てきて食べていると、戸がガラガラ。今度は初老の男が入ってきた。今回は普通の客だった。
俺がマッタリ食べていると男の方が先に食べ終わり、会計を済ませて出ていった。
俺もそろそろ行くかと会計をして店を出ると、さっきの男が足早に店に戻ってくる。まさかね…なんて思いながら煙草に火を着けようとすると、ライターが……無い。
男はカバン、俺はライターを持って照れながら店を出る羽目になった。
今日あの店には忘れ物の神様でも来てたのかね。

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