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第1654話 叔父さんの匂い

841 :本当にあった怖い名無し[sage] :2009/10/25(日) 14:00:38 ID:wJ4ftV/z0
5年くらい前、独り暮らしの自宅の中で突然、加齢臭がした。
なんかこう、時折ふわーっとくる。
まるでそこにオッサンがいて歩いているような感じ。
まだ20代だった俺は、「えっ?俺もう加齢臭?」
って焦ったんだけど、なんか俺でもなさげで、
部屋の中やら全部原因を探ったんだけど、わからず。
それが一日の中で何度かあり、2.3日続いた。

それから、朝方に出勤準備をしていると、
ワードローブを開けたら、ハンガーにかけていたスーツがばさっと落ちてきた。
「なんだよこの時間ないときにめんどくせえ」って思っていたら、
続けざまにイトコから電話がきて、「オヤジが亡くなった」と。
その叔父さんは、早く亡くなった俺の父の兄で、金銭やら面倒見てくれた人。
電話くれたイトコはその息子だったんだが、
「実は3日前から危篤状態だったんだけど、オヤジが、
俺が死んだら連絡してやってくれ。死ぬまではするな。
あいつ(俺)は仕事放り出して来るだろうから、悪いだろ」と言っていたそうで。

父親代わりな面もあり、俺も見た目が似ていたこともあって、ショックを受けつつ急いで帰郷準備。
何も考えずに、落ちたスーツをそのまま着ることにした。
帰郷の電車の中、「もしや、あの匂いは叔父さん?」なんてフト思った。
俺の姉も急いで東京から帰郷してきたんで、その話をしたら、
「あーーー、私もそれあったのよ!」と。

だからその話をイトコにしたら、叔父さんの部屋に入れてくれた。
するとまさにその匂いで、俺と姉で言葉にならなかった。
さらに気づいたのはそのスーツ。
俺が就職するとき(その2年前)叔父さんが、
「黒なら冠婚葬祭で着られるし、もっておいたほうがいい」
なんて言って、お祝いで買ってくれた物だった。

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