第1720話 浮かずの池

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918 :本当にあった怖い名無し[sage] :2009/12/15(火) 01:28:52 ID:W0pmduV60
そこには、浮かずの池という池があり、その池には何を沈めても決して浮いてこなかったという
底なし沼のような不気味なものだと思われるかもしれないが、
浮かずの池は、それはそれは澄んだ水をたたえた美しい池であり、
なんとは無い雑木林の中にあって、はしからはしまでを苦も無く見渡せる程度の大きさものであった
深さもたったの3,4メートルといったところで、まるで海の浜のようにきめ細かい砂利が、
底にしきつまって、波にゆらゆらと揺れて見える

その砂利が、不思議と捨てられたものを捕らえてはなすことがなく、水底にゆるやかに拘束する
水辺の浅いところを歩いてみても、その砂利に足首が埋もれて恐ろしい目にあうということも無いのに、
何故か打ち捨てた道具や死んだ動物などは、壊れてちりじりになり腐り果てても、
美しい水を汚すことも無く、ゆっくりと底へ底へと沈んでいき、いつの間にか消えてなくなってしまう
とはいえ、一夕の間に何もかもが失せてしまうということもなく、
沈めたモノは数日の間、池の底にその姿をゆらゆらととどめていて、
それはとても物悲しく情緒ある眺めであったそうだ
澄んだ水の底の世界は、どこまでも素直で清浄で、秘密めいたものなどひとつもない
なので、怪しげな物品や死体などが投げ込まれたなどという噂のひとつも上ったことはなかった
その地で死んだ者は、他の地と相違なく、丁重に荼毘に付された
灰となった誰かがまかれたということもあったかもしれないが、砂利よりも細かくなってしまった魂を、
浮かずの池の底に沈めたとしても、誰の噂にものぼらないようなことだ
得体の知れない不気味さというより、美しい池のつつましい自浄作用の神秘
それが、浮かずの池の不思議にふさわしい感じ方だった
今はもう何かの条例で池は保護されることになり、本当にそれが浮かずの池なのかを確かめるすべはなかった
もちろん浮かずの池にものを沈めることができなくなったのは、沈めてはならぬものが捨てられたからではなく、
単にこの池がもう滅多に見られないほどに美しいからに違いない

919 :本当にあった怖い名無し[sage] :2009/12/15(火) 01:29:38 ID:W0pmduV60
ところが、ただ平和で退屈な毎日に溶け込んでいたはずの池の中に、珍妙なものを見つけてしまった
岸からそう遠くない水底に、美しい女が沈んでいた
それが目に入ったせつなには、驚き腰が抜けるほどで、すぐに人を呼びに行かねばと思ったはずなのに、
次にはもう、女の美しさに見惚れていた
女は砂利の隙間から、その美しい顔と細い首、肩の鎖骨、それ以外には、右手首から先までだけを見せていた
閉じたまぶたと頬にはまだ血が通っているかのように桃色がかすんでいる
前に池に足を運んだのが一昨日の朝のことであったから、
この女が池に沈んだのが一昨日の夜か、昨日のことか
それにしても砂利にからめとられるのがこれほど早いのは見たことが無い
自ら水に入り、砂をまとって休んでいるのではないか、それとも、湖の精だろうか
そんなことが一瞬のうちに頭をよぎった
その場を去ることも女のそばによって見ることもできずに立ちすくんだ
どうすれば良いのか、その女に惚れてしまった
雑木林の中は静まり返っている
ここは本当は足を踏み入れてはいけない地区であり、訪れるものは誰もいない
いたとしても、建前だけの監視役が気まぐれに来るだけで、さほどとがめられもしないだろう
そうだ、この女は後数日で砂利の中に消えてしまう、それまでは、自分だけの女なのだ
その場から逃げるように立ち去った
920 :本当にあった怖い名無し[sage] :2009/12/15(火) 01:31:25 ID:W0pmduV60
翌朝に訪れると、女はまだ美しい顔のまま底に沈んでいた
こころもち顎を突き出したようで、額のほうが昨日よりも砂利に埋まってしまっているようだ
瞼とくちびるがかすかに開いているように見える、それが、とても妖艶に見えた
昨夜は女の存在を隠している罪悪感と、一方で、自分の見たものすべてにリアリティが持つことのできない興奮の中、一睡もできなかった
女の右手の指が、海草のようにゆらゆらとうごめいている、呼んでいるのだ、もう、本当にその場から動けない気がした
都会でそれなりに安定した地位につき始めたころ、何とはなしに会社を辞めてしまった
恋愛は昔から苦手で、ずっと独身だった、夜遊びもしない
気づけばそれなりの額になっていた貯金だけを頼りに、この地に旅行に来ていた
色々なことに疲れていた、夢を無尽蔵に持てる年でもないが、先のことが見えてくるほどの年でもなかった
それでも漫然と続いていく毎日に、何故か疲れてしまった、日常に留まらせるしがらみも持っていなかった
旅先で浮かずの池のことを聞き、その美しい池に沈んでしまおうかと思ったが、本気で思い詰まっていたわけではない
執着すべき何事も持てなかった、生きることも、死ぬことも
だが、今は、彼女が呼んでいる
彼女に会いに水の底へと行くためならば、執着心を持つことができるのかもしれない
それでも、勇気が無かった、仕事と長く住んだ街を離れる決心はすることができたのに
そうだ、決心といえるほどの決断ではなかったのだ
ここにいるのもきっと、彼女に誘い呼ばれただけだったのだ、そのような気がした
泣きながら摘んだ野花を水辺に浮かべる、なぜか花弁は水に沈まない、彼女に捧げるための花であるのに、届かない
水鏡に一面の花が浮かんでいる
921 :本当にあった怖い名無し[sage] :2009/12/15(火) 01:32:35 ID:W0pmduV60
それからどれくらい彼女を見つめていたのか、黒く、青く、輝く水面の中、彼女の白い顔が朽ちていく
私はまだ決心できないでいるのに、花が沈み、彼女が消えていく
輪郭がゆがみ始めた彼女を、花が覆い、池の底が奪っていく
彼女は美しいままで消えていくのだ、それ以外何もかもすべてが、みっともなく朽ちていくのに
この池のせいで、彼女を忘れることもできないまま
私はまだ決心できないでいるのに
私はまだ決心できないでいるのに、花が沈み、彼女が消えていく
輪郭がゆがみ始めた彼女を、花が覆い、池の底が奪っていく
彼女は美しいままで消えていくのだ、それ以外何もかもすべてが、みっともなく朽ちていくのに、
この池のせいで、彼女を忘れることもできないまま、何もかもが
私はまだ決心できないでいるのに

そして彼女はいなくなってしまった
何事も無かったように、ちりひとつ浮かばない静寂な池があるだけだった

あの地を去る前に、急にいなくなってしまったという若い女の噂を聞き胸がざわついたが、写真を見てみれば、彼女には似ても似つかぬ平凡で魅力の無い女だった
心当たりのあるふりをして色々と聞くつもりであったが興味を無くした
聞かれる側であった家の者も、それがもともとそこを出たがっていた何の取り得もない三女であったということで、私に特に関心も示さなかった
浮かずの池にも訪れたが、やはりただ静まり返っているただの池で、初めて目にした時のような清浄な美しさを感じることができなかった
残りの人生の中に彼女の面影などどこにもなく、平凡で、俗々しい日常だけが、残された

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『第1720話 浮かずの池』へのコメント

  1. 名前:転職してもサボリ中 投稿日:2009/12/15(火) 17:08:00 ID:a7cbb0b4e

    書き方やどうでもいい描写など小説家志望とか?非常に読みづらい。センダイ的な物を感じた。

  2. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2009/12/15(火) 20:51:00 ID:d1b9c0503

    日本昔話か・・・池に女性が沈んでたでおk

  3. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2009/12/15(火) 22:08:00 ID:de262a72e

    長い!の一言につきる

  4. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2009/12/15(火) 22:14:00 ID:1bd6712a3

    一生懸命背伸びしたつもりの修辞技法が却って稚拙さを際立たせる典型例。もっとシンプルに。

  5. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2009/12/18(金) 10:57:00 ID:2b6ca9797

    この話が事実だとして、文章の長さはアレだが少なくとも不可解な話ではあると思った

  6. 名前: 投稿日:2009/12/18(金) 19:29:00 ID:012dfe3e9

    途中まではスゲーいいって思ったけど、後半萎えた

  7. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2009/12/19(土) 08:14:00 ID:c9234e4bf

    エニグマスレには文筆家気取りを惹き付ける何かがあるのか

  8. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2009/12/24(木) 09:57:00 ID:dfbf2d162

    俺は好きな話だけどな

  9. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2010/01/06(水) 02:50:00 ID:de267ad0e

    茶川龍之介

  10. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2010/01/21(木) 19:52:00 ID:90276f3e8

    時系列が何の説明もなくバラバラにされてて混乱する。読者を惹きつける努力を。

  11. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2010/04/15(木) 07:56:00 ID:f49c57a50

    上から目線多すぎワロタ

  12. 名前: 投稿日:2010/04/27(火) 15:20:00 ID:2a950ea1b

    ドラマとは往々にしてドラマとは無縁と思える人物に起こるものだ

  13. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2010/05/18(火) 16:57:00 ID:205092ec7

    何となく夢十夜を彷彿とさせる。

  14. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2010/09/03(金) 17:46:52 ID:43c397c0d

    小説家志望はいいが、もっと日本語しないと。

  15. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2010/11/25(木) 03:52:22 ID:7b38577a6

    どこがやねん

  16. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2011/03/03(木) 01:57:39 ID:76a0a3084

    下から目線でもつまらんな、こりゃ…

  17. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2012/06/09(土) 18:17:27 ID:f95bcc18a

    ぶっちゃけ投稿すべき所を間違えまくってる
    空気の読めなさが、文体にもあらわれてると思うんだ。

  18. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2012/06/10(日) 18:31:17 ID:d0de5c1a7

    余計な描写が目立つね

  19. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2012/12/24(月) 12:52:00 ID:5582f952c

    小説として読めば好きだ

  20. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2013/03/22(金) 07:28:09 ID:314139c6d

    三行で説明して!

  21. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2013/05/29(水) 20:54:02 ID:284984bf1

    湖底で女の死体を発見!

  22. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2013/09/21(土) 23:24:39 ID:fd66d6036

    私はまだ決心できないでいるのに…からの繰り返しがミスだとしてもウザイ
    そしてこれはエニグマではないな

  23. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2014/02/17(月) 10:26:37 ID:4a269ae6e

    途中で飽きた

  24. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2016/03/19(土) 03:45:33 ID:cd8ed6767

    同じく途中で飽きて、何の話ってなった!ワクワクしなくなった!