- 341 :本当にあった怖い名無し :2010/03/09(火) 16:43:50 ID:3ckL2AiF0
- 今年の正月にあった話
年末に解雇され、暗い気持ちで実家に帰った俺。
東京に出てからは、元旦はひとりで実家の裏山に登り、今年の抱負を考えるのが恒例だった。
今年も山に登ったのだけれど、ひとつ気になることが。
後ろから人が付いてくるのだ。
なんとなくすれ違うのいやで、下りは別の道を通ったのだけれど、それでも後ろに気配がした。結局、何事もなく家にはたどり着いて、家族と馬鹿話をしながら夕方になった。
落ち込んでいた気分も明るくなり、やっぱり家族は好いもんだと思ったね。6時を過ぎたころ、父が仕事場に忘れ物をしたといって、家を出て行った。
仕事場までは約往復2時間。
15分くらいして、玄関のトビラが開いて、誰かが入ってきた。
「お父さん、忘れ物かしら」と母が玄関に出て、誰かと話している声が聞こえた。
すぐまたトビラが閉まる音が聞こえ、
「なんか変なのよ、お父さん。私が出て行ったら、もごもごよくわらないこと言って、すぐでてっちゃった。」
と母が不思議そうな顔で帰ってきた。そのとき、なぜか直感的に嫌な感じがした俺は、
玄関にすっ飛んでいって、トビラを開けてあたりをみた。
家の周囲は見晴らしのいい場所なので、誰かいればすぐにわかる。
でも、あたりには誰もいなかった。
ためしに父の携帯に連絡をしてみると、父はまだ仕事場にもついておらず、家にも帰っていないと言う。
母は「あれは絶対お父さんだった」と言い張ったが、
「でも、そういえば、あのときのお父さん、私の顔を見てすごくびっくりした顔をしてたわね。
ちょっと怯えた感じで、なんか変だった」結局、近所の酔っぱらいが間違って家に入ってきたのだろうということに落ち着いた。
しかし俺は密かに、俺が山から連れてきてしまった何かを、母が追い払ってくれたのだと思っている。
もし、家に誰もおらず、俺ひとりだったら・・・。
ありがとう、母。