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第1930話 巨大な頭

106 :本当にあった怖い名無し:2010/08/11(水) 00:43:53 ID:SKf2HIaz0
俺がまだ小学校低学年くらいだった話。
普通の住宅街にあるマンションの3階に住んでいたのだが、ある日子供部屋の中を横切ったとき、ピィーンと耳鳴りがしたと同時に金縛りにあった。
当時はまだ金縛りなんていう知識も無く、ひたすら混乱していた。
ふと視界のぼやけ、というか意識がはっきりすると、自室の窓から外を見た状態で固まっているのに気づいた。
窓から見える風景はマンション周囲にある一軒家の屋根を若干斜め上から眺めたようなもので、遠くまで屋根が続いている。
体が動かないので仕方なくそのまま外を眺めていると、ふと遠くの屋根の上から丸いものが覗いて出てきた。
俺には一瞬でわかった。「人の頭だ。」
誰かが屋根に上ってるのかな?と思ったがどうもおかしい。
その屋根は相当遠く、小さく見えるのに頭だけは数十メートルの距離から見たかのような大きさだ。
ずっと見ていたはずなのに、その頭は突然一個手前の家の屋根に。
また一個手前の屋根に。また一個、また一個・・・。
巨大な頭が迫ってくる光景に俺はただ震えるだけだった。
窓枠からみえる光景に占める頭の割合が増えてくる。
どんどん、どんどん。
「あああああああああ、うあぁぁ、ああああああ・・・」
正常な思考などは吹き飛び、ひたすら恐怖に震えるだけだ。
何か見てはいけないような、おぞましいような、根源的な恐怖。
のどの奥が締め付けられ、熱く痛い。涙が無性に流れる。全身の体が抜ける。
窓が顔で埋められるかと思った瞬間、意識を失い倒れた。
気がついた瞬間、視界は床で満たされていた。
これは幸いだった。何故なら窓の外に何かの存在を強く感じたからだ。
このときほど危険な何かがそこに存在している気配を感じることは無かった。
見てはいけない。終わる。
そう感じた瞬間、その場で毛布をかぶり震えていたい衝動を抑え、家族がいる場所へ駆け込んだ。
こうして事なきを得た。家族はそのようなものを見ていないという。
「ピングー」という粘土のアニメーションに出てきた巨大なセイウチがまさにイメージに合っている。
最近になって動画サイトでそれを見つけ、否応も無く記憶を鮮明に呼び起こされたため、ここに記録しておく。
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