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第2288話 奇妙な写真

430 :1/2:2011/04/29(金) 15:49:11.48 ID:46bL5sOY0
使用者が特定されない公共物や共有物に、奇妙な痕跡を見つける事がある。
祖父の葬式での話。

何を撮るという訳でもないのだが、習慣からカメラを持っていった。
斎場に着くと、こういう機会でも無いと殆ど会わないような親戚も何人か来ていて、
挨拶がてらに一枚撮らせて貰ったりした。
久しぶりに親戚に会えてはしゃぎ回る子供たちをパシャリ、
料理の準備やら、土産物の手配やらで忙しく動き回る奥さん方を態々呼び止めてパシャリ。
と、気の向くままに撮っていた。

暇そうだから、といわれて、手伝いをすることになった。
車で、荷物を運んだり、遅参した人を駅まで迎えに行ったりするのだ。
運転しながら写真は撮れないので、親戚に
「ここにカメラ置いていきますので。自由に使って下さい。」
と言って、斎場を後にした。

431 :2/2:2011/04/29(金) 15:49:46.33 ID:46bL5sOY0
関係者も集まり、告別式、葬儀、火葬、納骨と、滞りなく進んだ。
葬式を無事済ませて、親戚に暇乞いをして、帰宅した。
式の最中、特別奇妙な事も起こらなかったのだが、
撮った写真を整理していると、気になる一枚があった。

後日、四十九日で親戚がもう一度集まる機会があり、写真を印刷して持っていった。
「ところで、この写真、誰が撮ったかわかる?」
「さあ、俺じゃないな、葬儀屋の人かな。」
「葬儀屋がこんな写真撮るかな?」
それは葬儀中に撮られた物らしかった。
告別式の後、遺体をお寺に移して、そこで葬儀を行ったのだが、
写真は斜め後ろに引いた視点から、祭壇の前に正座している親族達を収めたものだった。

奇妙なのは、親族達が、皆首をくっと伸ばして、カメラ目線になっていることだ。
僧侶だけが背を向けて、祭壇に向かって読経している。
自分の顔も見つけた。カメラの方を向いているということは、撮られた事を覚えていないとおかしいが、
そんな記憶は無かった。
「こんなの、撮られてないですよね?」
「撮られてない。こんなこと、あるんだねー。」
その後特に何も起きていない。

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