第2918話 憲兵の大叔父

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
523 :本当にあった怖い名無し:2012/09/30(日) 00:24:59.29 ID:mdUfC2dY0
俺の大叔父、祖父の弟の話なんだが興味深かったから話したい。80年~90年ぐらい昔の話かな?

祖父の家は農家で大叔父は五男で末弟だった。聞く話によると農家の五男あたりは穀潰しでろくな扱いを受けていなかったと言ってた。
ただ大叔父は他の兄弟と比べて格段に頭が良く、当時の小学校の先生からも褒められて「憲兵学校」?みたいな所に受験したらしい。
家族は受かるはずも無いと思っていたらしいが、なんと合格。憲兵となった。
当時にしては破格の給料だったが大叔父は極僅かな金しか実家に贈らなかったと。祖父は「あんだけ邪険にしていたからしょうがない」と言っていた。

んで大叔父の話は第二次世界大戦の時かな。詳しいことは話したがらなかったが色々と酷い尋問をしたことがあると言っていた。
当時、憲兵は「鬼」と呼ばれて相当嫌われていたらしい。唯一大叔父が酔っている時に教えてくれた尋問は「絶対に眠らせない」というもの。
対象を椅子に縛り付けて常にビンタし続ける、というのだった。いつも優しい大叔父からは到底考えられなかった。だけどとても悲しそうに話していたのは覚えている。

そしてある日、反逆者?の銃殺に携わることになったらしい(詳しくは教えてくれなかった。)
流石に人を殺すのには抵抗があって、泣きながら上官に「自分はできません」と許しを請うたと言っていた。当時上官の命令の逆らのうのは有り得ないらしく顔の形が変わるまでぶん殴られたと。
実際鼻の形はちょっとおかしかったし、顔に傷がたくさんあった。
結局大叔父は腑抜けの農民として蔑まれ、処刑は大叔父の友達が務めることとなった。
その友達は大叔父と同じく貧民出身で仲が良かったが、家族の期待を一身に受けて、家族の稼ぎ頭となっている人だったと。
当然断れるはずもなく、処刑をこなした。だけど人を殺したことで少しずつおかしくなっていったと言ってた。
戦争末期、大叔父は雑用ばかりの役たたずとして扱われ、その友達は狂人とされていたんだと

524 :本当にあった怖い名無し:2012/09/30(日) 00:25:54.65 ID:mdUfC2dY0
>>523

戦争が終わった後、大叔父は裁判所に勤め始めたんだと(憲兵は法律の知識が豊富)。俺は「公職追放例は?」と聞いたが、「そんなもん金でなんとでもなる」って言ってた。
そんなこんなで裕福に過ごしていたら、ある日例の友達の死んだのを知ったと。ドブ板長屋で死んでいたらしい。
大叔父も色々と負い目を感じていたらしく、多額の香典を包んだとは言っていた。
だけど葬式の日から例の友達が夢に出てくる。「お前のせいで」とずーっと恨み言を言ったあと消えるんだと。
いくら許しを請うても毎日出てくる。そのうち大叔父は利き腕の右腕を病んだ。いくら治療しても治らず結局右腕は腐れ落ちて、二の腕から切断した。
けどその切った腕の骨を持って、例の友達の墓を参ると夢には出てこなくなったと。

これはずっと昔元旦に、片腕の無い大叔父に聞いた話。もしかしたら作り話かもしれない。だけど大叔父が憲兵だったのも、片腕がないのも事実ではある。
大叔父は「あいつは優しかったから片腕で許してくれたんやろ」と言っている。
真実はわからないけど面白い話だからここに書きました。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク

『第2918話 憲兵の大叔父』へのコメント

  1. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2012/10/02(火) 00:03:39 ID:07409aa52

    面白い話・・とは思えませんでした。哀しい気持ちになりました。

  2. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2012/10/02(火) 00:30:12 ID:4755db34a

    興味深いって意味での「面白い話」とは思うけど
    気分の良い話じゃないな。恨みが消えてるならそれで僥倖だけど

  3. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2012/10/03(水) 09:54:42 ID:58c125498

    戦争関係の怖い話ってこういう感じの「日本人(又は日本国)は異常・鬼畜」系の話ばっかだね

  4. 名前:恨未晴 投稿日:2012/10/03(水) 12:14:26 ID:7ece31c51

    みんな恨む相手を間違えてるよね?

  5. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2012/10/03(水) 21:30:24 ID:53cc96cff

    大叔父さんの「負い目」の話。
    語らなかった語れなかった友人との軋轢みたいなものがわだかまってそんな夢を見せたのだろう、と思う。
    (夢をすっと忘れられず、同じ夢を繰り返し見ていると思い込むそのことがすでに屈託というか意識された
    トラウマというか)
    その友人が恨みに思っていようといまいとこういうことはあるんだろうなあと、思えるところが自分も
    日本人のハシクレなんだなとしみじみ思わされる。

  6. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2012/10/06(土) 22:34:48 ID:d8f3c0749

    戦前・戦中の日本を美化してるネトウヨにこそ読んで欲しい話だな
    まあネトウヨの脳内では「過去の日本を貶めようとする陰謀」になっちゃうんだろうけど

  7. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2012/10/06(土) 22:58:03 ID:576f63968

    加害者側の生の証言って少ないよね、
    映画やドラマだと、勇ましさや、悲壮感溢れる演出ばかりが前面に出されがちです。
    現実には目を背けたくなる場面の連続だと思います。

  8. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2012/10/06(土) 23:44:18 ID:040a5aa98

    加害とか敗戦とかと関係なく、体験のうちには語るに馴染まないものがあると思う
    下手なたとえだけれど、掌で水をすくってもこぼしてしまうように
    恣意的なものは予測して補えるけど無意識に端折られる分はどうにもし難い
    あんまり元の話と関係なくなってるけどw

  9. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2012/10/17(水) 09:18:53 ID:93fd82274

    誰も悪くないのに。優しさは弱さとして迫害される。戦争は嫌だな

  10. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2012/11/15(木) 15:40:46 ID:ca9156c09

    祖父も陸軍の出でときどき戦時中の話をしてくれる。
    しかし人を殺せないと兵隊は務まらないし、憲兵にもなれないんじゃなかろうか。
    仲間は別なのか。

  11. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2014/09/29(月) 10:34:55 ID:a6ab8392f

    ゆとりか、アンタは!

  12. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2014/10/01(水) 15:15:33 ID:059f74c85

    体験者が存命中のうちに後世の為、
    現実はここまで惨たらしい
    地獄のような血みどろの戦場だったと淡々と再現した映画作品を
    製作しておいておくのも良いかも知れないですね。

    意気揚々と戦う者、恐怖に尻込みして硬直する者、
    理不尽な命令を下す上官や突撃せざるを得ない兵士達 捕虜の扱い………。

    頭部が粉砕したり、はらわたが飛び散って泥とぐちゃぐちゃになったり、
    吐きそうになる戦闘場面の連続を趣味の悪いB級スプラッターみたくならないように
    丁寧に作り上げるのは困難な作業かも知れないけれども。

    体験者の目が直接見た光景だけを綴った悪夢を、
    本当は英雄も居ない
    美談なんて無い あらゆる感情も喪失した後に詩的な悲壮感も存在しない、
    ただただそれが戦争の現実なのだというそんな作品を一本………。

  13. 名前: 投稿日:2016/01/10(日) 17:34:07 ID:3f3022c4f

    後世の役者が演じる芝居でなく、ドキュメンタリーでいいんではないかな
    よく出来た長編作品より、事実を撮った一枚の写真の方が
    「これは演技や小道具」といった先入観無しに心に訴えてくると個人的には思う