第281話 顔

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175 :あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] :03/05/04 09:02
子供のころ、時々遊びに行っていた神社があった。
自宅から1キロほどの山のふもとにある、小さな神社だった。
神社は大抵ひとけがなく、実に静かだった。

神社の横が小さな林になっていたのだが、その林の木のつるが上手い
具合にたれ下がっていて、ブランコみたいになってるところがあった。木の
つるだからゆれる幅も狭いが、自然にできたブランコという漫画みたいな
場所は子供心にも面白さを感じる。近所の子供はそれのために時々
神社に足を向けていた。

ある日、その場所に一人で出かけた。一人だった理由はもう思い出せ
ない。多分遊びに誘った子達が皆出かけていたか何かだったのだろう。

176 :あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] :03/05/04 09:02
神社の境内はいつもどおり、手入れはされていたがひとけはなかった。
横の林に入り、つるのブランコに向かおうとしたとき、妙なものが目に入った。

人の顔。妙に白い人の顔がブランコの少し手前にあった。
プールで仰向けになり、顔の部分だけ水面上に出している様子を思い浮
かべて欲しい。丁度そんな感じで、顔だけが仰向けに地面の上にあったのだ。

177 :あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] :03/05/04 09:03
私は足を止め、その顔を眺めた。お面だろうか?しかし作り物には思えなか
った。結構整った顔立ちだったと思う。女なら美人だといってもいいくらいに。
その目はまっすぐ天を見つめている。近づいて確かめたいという気持ちと、逃
げたいという気持ちの気持ちが拮抗して私は動けなくなった。

しかし私はすぐに脱兎のごとく逃げ出した。
目が、不意にきょろっと動いて私を見つめたからだ。

私はそれ以来そこには行かなくなった。

178 :あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] :03/05/04 09:04
物理的に誰かが本当に埋まっていたというのは考えにくい。地面は木の根
が這い回っていて、非常に掘りにくいはず(自宅の庭の一部が似たような
状態になっていて、車庫を作るときに掘り返した。)。本気でやるなら数人
がかりで掘って、体を埋める必要がある。しかし何のため?何かの撮影な
ら小さな田舎町のこと、噂にならないはずがない。いたずらや覗きならあまり
に割に合わない。一日待って誰も来ないこともありうるのだから。
182 :175 [sage] :03/05/04 12:03
コピペし忘れた。>>178と>>179の間。

しかし何よりあの顔だ。そこには苦労して埋まって、我慢して何かを待ってい
る様子は全く感じられなかった。ただ静かに天を眺めていた不気味にきれい
な顔。あれは埋まったのではなく、地面の下からぷかりと浮かんだのだしか
思えなかった。

179 :あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] :03/05/04 09:12
数年前、約20年ぶりにそこを訪れた。木のつるブランコは垂れ下がって地面
に達してしまい、もはやブランコではなくなっていた。
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『第281話 顔』へのコメント

  1. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/04/12(木) 17:17:00 ID:bee43f610

    後日談が全く後日談になってない件

  2. 名前:(・∀・) 投稿日:2007/09/20(木) 13:38:00 ID:25a969a50

    リアル富江キタ━━━(・∀・)━━━!!!!

  3. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/05/13(火) 23:26:00 ID:7c71196a7

    最後の一文がホラーマンガの結末みたいで(・∀・)イイ!

  4. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2011/09/09(金) 12:45:01 ID:7ad6dea4d

    描写うめえな

  5. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2011/09/09(金) 16:44:02 ID:3573d20e1

    文章上手だね

  6. 名前:名無しの 投稿日:2014/07/09(水) 19:31:52 ID:f5fd73452

    お面が落ちてたんじゃなかろうか。

  7. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2017/03/03(金) 09:28:51 ID:4338835a4

    ネタバラシすれば目の動くお面が落ちていたんだろうな