第1098話 神隠し(3)

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441 :本当にあった怖い名無し[sage] :2008/03/15(土) 19:18:01 ID:mTPuEhD8O
1/2

神隠しっぽいものにあったことがある。
小学校1年の夏休みのことだ。

実家はいわゆる過疎地にあって、地域には同い年の子が数人しかいなかった。
その日は遊べる友達がいなかったので、私は一人で外をフラフラしていた。
「大人の目のない場所には行くな」とか「一人で山に入るな」とか言われていたが、
どうせ平気だろうと高をくくり、忠告を無視して林道に入った。
そうしたら見たこともない「可愛いお姉ちゃん」に会った。
7歳の子の認識する「お姉ちゃん」だから、たぶん小学校高学年か中学生くらいだと思う。
「お姉ちゃん」は私と遊んでくれることになり、「年上の私が一緒だから大丈夫」と言って、
私を山に誘った。ささやかな冒険心からか、私はホイホイついていってしまった。
山で私と「お姉ちゃん」は鬼ごっこを始めた。「お姉ちゃん」が鬼だった。
、最初は楽しく追いかけっこしていたのだが、たまたま廃屋を見つけたので
「お姉ちゃん」をまいて隠れることにした。すると「お姉ちゃん」の様子が変わった。
「お姉ちゃん」は優しげだがどことなくヒステリックな声で私を呼びはじめた。
まいた場所から廃屋まではそれなりに離れていたはずだが、それでも聞こえるほどの大声だった。
やがてガラスが割られる音などがして、「お姉ちゃん」が廃屋の中を探し始めたことが分かった。
ふすまを蹴るような音もした。どう考えても尋常ではない怒りかただった。
ちなみに私は簡単にカラの押し入れに隠れていただけなのだが、どういうわけか
「お姉ちゃん」は私を見つけられないようだった。

442 :本当にあった怖い名無し[sage] :2008/03/15(土) 19:18:51 ID:mTPuEhD8O
2/2

「お姉ちゃん」は廃屋の中を歩き回りながら「出てきて、ここでおままごとしよう」とか
「それともこのお家にお姉ちゃんとお泊まりする?」などと言っていた。
そのうち「お姉ちゃん」は狂ったように、出てこいとか出せとか助けてとかわめきはじめた。
私は怖くて、押し入れの中で小さくなっていた。

その後どうなったのか覚えていないが、いつのまにか私は男の人と明け方の竹林を歩いていて、
いろいろと説教を聞かされていた。
大人が物事を禁止するのには理由があるとか、子供が一人で出歩くのはよくないとか。
その人は私を舗装された道路まで送ると、あとは自分で帰れと言ってどこかに行ってしまった。
そこは地元から峠ひとつ越えたところにある、母の実家のすぐ側だった。
玄関の戸を叩くと祖母が現れ、その場で私を抱きしめて大泣きしだした。
とりあえず私は風呂に入れられ、その間に両親と父方の祖父母が呼ばれていた。
失踪中のことを話しても両親にはあまり信じてもらえなかった。
ただ、祖父母たちは「お姉ちゃん」と遊ぶことになったいきさつを聞いて顔色を変えた。
きっと何か知っていたのだろうが、詳しいことは未だに聞けないままだ。
後日、私が失踪した日に、近所の山で山火事が起こっていたことを知らされた。
焼けた範囲内に、全焼はしなかったが廃屋が一軒あったらしいことも。
消防のおじさんたちも私の失踪を知っていたので、消火後真っ先に廃屋を調べたが、
中には「誰も」いなかったそうだ。

祖父母たちの強いすすめで父実家(林道の近く)から母実家に引っ越して今に至る。
あの朝男の人と歩いていたのはどうやら母実家の近所の竹林だったようだ。
そこには小さな古いお社があり、火の神様が祭られているらしい。

450 :本当にあった怖い名無し[sage] :2008/03/16(日) 08:08:43 ID:4erSfLEpO
>>441-442を書き込んだ者です。
昨夜は酔っ払いながら書いたせいか少々内容に不備がありました。補足します。

・「お姉ちゃん」と会ったのは8月某日の昼前。たぶん10~11時くらいだと思う。
押し入れにはかなりの長時間隠れていた。
少なくとも、引き戸の隙間から差し込む光が、昼間の陽の色から夕日の色に変わるまでは。
祖母宅に着いたのは、翌々日未明。
つまり丸2日近く私は行方不明で、その間に近所の山中も捜索されたが発見されず。
警察には通報されていない。

・山火事はどうやら私が出かけてからいくらも経たない間に発生したらしい。
かなりの規模で、私が帰ってきた火の夜にようやく消火作業が終了したとのこと。
消防のおじさんはファイヤーマンではなく地元の自警団員なので、少々危険だったが
真っ先に廃屋を調べてくれた。廃屋は割と燃えはじめた場所の近くにあったそうだ。
火元はよくわからなかったそうだが、「登山者のタバコの火」ということになっている。

451 :本当にあった怖い名無し[sage] :2008/03/16(日) 08:16:15 ID:4erSfLEpO
・大学生時代、「心霊スポット行こうぜ」という友人と一緒に「焼け落ちた廃墟」に
入ったことがある。
火災にあった割にはあまり煤けていない押し入れがあり、引き戸に◎みたいなマークが
墨だかマジックだかで描かれていた。どう見ても私が隠れたところです本当にあり(ry
ガチムチ系の友人がそれを開けようと試みたが、ピクリともしなかった。
開かないんじゃなくて、まるで作りもののように「動かない」。
霊の類は出なかったが、それが気味悪くて早々に引き上げた。

・私は峠の向こうに引っ越したわけだが、田舎の過疎地なので校区は変わらない。
一応当時から「特殊学級」みたいなものがあり、池沼の子も同じ学校に通っていた。
学校で友人や先輩に「お姉ちゃん」について尋ねたことがあるが、隠しているふうではなく
本当に誰も知らないようだった。
田舎の狭いコミュニティでは、どの家にどんな子がいるかなんて隠しようがないし、
池沼の親戚が家にくる場合はあらかじめ近所中に連絡するような土地柄だった。
子供にも池沼の年格好が知らされて注意を促される。(池沼が子供であっても)
ひとりで外をブラブラしている子供がいたら、すぐに大人が保護する。
だから、誰も「お姉ちゃん」を知らないのは不思議としか言いようがない。

以上。

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『第1098話 神隠し(3)』へのコメント

  1. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/03/27(木) 21:27:00 ID:01ffc8cbe

    男の人=神様?

  2. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/06/01(日) 04:02:00 ID:6fbe630bf

    お姉ちゃんの語気が変わるの怖すぎる

  3. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/08/17(日) 22:25:00 ID:1243de3fd

    この話が微妙に怖い

  4. 名前: 投稿日:2008/10/04(土) 06:38:00 ID:427f6e157

    廃墟のお姉さんは火の神様の家族だな

    火の神様=男の人

  5. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2008/11/09(日) 00:44:00 ID:ab438ba04

    さぁ盛り上がって参りました・・gkbr(((;~)))

  6. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2009/01/25(日) 07:52:00 ID:a8edfe39a

    この話じわじわくるな…

  7. 名前:かみか 投稿日:2009/02/14(土) 22:57:00 ID:5fa431d48

    お姉さん=火の神(怒ったので山火事)で、どう?

  8. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2009/06/04(木) 21:32:00 ID:718534802

    こわい…そのままお姉ちゃんと行っていたらどうなっていたんだろ。

  9. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2009/12/21(月) 12:47:00 ID:e8b5c2fe6

    創作ってレッテルは否定コメントだと思うんだが・・・ぞくぞくするいい話だなぁこれはw

  10. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2010/01/06(水) 12:49:00 ID:b7f1270b8

    ちょっとひどい土地柄だな この話の後日談は初めて読んだからよかった。

  11. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2010/06/14(月) 22:32:00 ID:8c184b0fc

    このサイトの中でこの話が一番好き。

  12. 名前:ネコ 投稿日:2010/09/11(土) 21:55:01 ID:885886bc6

    でもあれだよね、そのお姉ちゃんをあくまで「普通の人間」と過程すると
    自分が連れてきた山ん中でよその子供が見えなくなったら
    パニクって探すだろうし、そちらもまだ子供だから
    心細さを(無意識に)苛立ちで隠したり
    私のせいでどうしよう、誰か助けて、ってなるのは自然かも知れない。

  13. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2010/11/02(火) 23:05:07 ID:a9569ba5e

    お姉ちゃん=悪霊、魔物
    出せ、助けて=子供を出せ、炎から?助けて
    男=火の神、投稿者を助けて廃墟ごと魔物を焼き払った

    ???と解釈した

  14. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2010/11/03(水) 00:36:37 ID:a5ebc7fb1

    たぶんその解釈が正解だと思う。

  15. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2011/02/12(土) 10:59:37 ID:97549450b

    おお、なる

  16. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2011/06/21(火) 02:05:18 ID:60e1d6f2c

    みんなわかってないなー。

    おれなら、かわいいおねえちゃんと
    お泊まりするけどなー。

  17. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2012/09/25(火) 16:29:10 ID:629b265b8

    そういうよこしまな考えを持った人は男の人が助けてくれないんだろうなw

  18. 名前:バテレン 投稿日:2012/10/28(日) 19:52:25 ID:e9f478c5a

    面白いですね

  19. 名前:バテレン 投稿日:2012/10/28(日) 19:53:21 ID:e9f478c5a

    なかなか

  20. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2013/11/23(土) 10:13:58 ID:2119566bf

    …安珍と清姫を思い出した((°□°;))ガクブル

  21. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2014/01/18(土) 11:39:25 ID:67810a04e

    お姉ちゃんも良いもので、火事になって危険だから助けようと思って探してた。
    まだ子供だったので、探しても見つからないし、段々焦って語気が荒くなった。

    んで、とうとう見つけられないので、お父ちゃん神様に手助けしてもらった。

    と、解釈しました。

  22. 名前:名無し 投稿日:2014/03/09(日) 23:46:23 ID:30057b4c7

    火事の事を考えると、遊び始めた時点で結界みたいな場所に取り込まれてたみたいだね。
    男の人の登場によって典型的な神隠しにはならなかったわけだ。
    無事に帰れて良かった。
    ※欄の解釈はそれぞれ納得した。お姉さんがどういう立場なのか、なぜを見つけられなかったのか。
    結局、お姉さんの正体が一番の謎だね。

  23. 名前:名無し 投稿日:2014/03/09(日) 23:50:26 ID:e21f598c5

    訂正。
    ×なぜを
    ○なぜ押入れに隠れた主を

  24. 名前: 投稿日:2014/05/21(水) 17:16:09 ID:8ee850b5b

    隠れた押入れに神様が結界を張ってくれたんでしょうね

  25. 名前:k 投稿日:2014/06/20(金) 08:01:52 ID:675de5998

    隠れた押し入れ開けたら
    中には何があったんだろう(((((゜゜;)

  26. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2018/11/21(水) 19:30:06 ID:9a458d71a

    まぁでも俺も「お姉さん」に誘われたら、ホイホイ着いてくだろうなぁ。