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第1253話 あのときの約束

951 :本当にあった怖い名無し[sage] :2008/10/29(水) 20:09:50 ID:m1zMYs/t0
長野県のY郡の旅館に泊まった時の話。
スキー場に近いくせに静かなその温泉地がすっかり気に入って、
僕は1ヶ月以上もそこに泊まったんです。
その時、宿の女将さんから聞いた話をします。=====

女将さんにはお姉さんがいたそうです。
とても明るい性格で、二人はとても仲が良かったそうです。
ある日、冗談半分に「あの世ってあるのかねぇ」という話題になったそうです。
話には聞いたことがあるけれど、誰も本当にあるかどうか確かめられないわけで、
もちろん二人とも結論などが出せようはずもありません。

そこで、女将さんはお姉さんに「もしどっちかが死んで幽霊になったら、
お互いにわかるように合図を決めておこう」となったそうです。
お姉さんは「うーん、じゃぁ、もし私が死んだら、お通夜の日に電気を真っ暗にするわ。
私、ビックリさせるのが好きだから」と、お姉さんが屈託なく笑って言い、
で、女将さんも「じゃぁ、私も」と、笑って答えたそうです。

952 :本当にあった怖い名無し[sage] :2008/10/29(水) 20:13:44 ID:m1zMYs/t0
しばらくして、お姉さんは突然の交通事故にあって死んでしまったそうです。
幸い、遺体は損傷もなく死に顔はとても綺麗だったのだそうです。
急の事態を聞きつけた親類や知人、葬儀屋さんが集まって、通夜がおこなわれたそうです。
そして。お坊さんが通夜の読経をあげている真っ最中、突然停電が起きたそうです。突然の時代に、葬儀屋さんもお坊さんも親類も知人も大慌て。
周りを見ると停電になっているのは自分の家だけですので、
葬儀屋さんはブレーカーが落ちたと思い、懐中電灯を取り出して、
身内の案内で調べるもブレーカーは正常な状態。原因は全く不明。

その時、お女将さんは思ったそうです。「あ、あのときの約束だ……」と。
そしてふっとふりむこと、死んだはずのお姉さんが玄関に立っていて、
声にならない声で「あるみたい」と笑ったそうです。
その刹那に、電気が回復し、お姉さんの姿は消えてしまったそうです。

女将さんは「お姉さんはほんとうにイタズラ好きだ」と思い、
まさかこんなこと、みなには言えないからずっとうつむいて黙っていたそうです。

でも、そのおかげでお姉さんは死んだのではなく、
今は自分のいけないあの世にいっただけで、自分も行けばあえるのだ……と、
死生観が変わったそうです。

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女将さんは、霊感のあるとか、オカルト好きではなく、ごく普通の人で、
すごく素直に屈託なく話してくれたので、この話は本当のことだと
僕の中では思えています。

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