- 951 :本当にあった怖い名無し[sage] :2009/05/15(金) 19:35:59 ID:6PO2Iuof0
- うちの親父は東南アジアの開発が仕事で、子供の俺とはずっと
疎遠なままだった。
晩年、そこそこの地位に着いた父は観光の手はずを整えて、
俺を何度か赴任先に招待したが、今度はこっちが忙しくて応える
ことはできなかった。しばらくして、父は海外で買い込んでは
送りつけてきた山ほどの荷物を残して、客死した。その後、荷物は自宅の一室に放り込んでおいたが、少し前からそこから、
象の鳴き声が聞こえると、家族が言うようになった。最初は取り合わ
なかったが、最近、俺にもそれが聞こえるようになってしまった。
そこで意を決して、ある晩、部屋を開けてみた。すると、そこには尻を向けて尾をゆっくりと振っている、小さな象が
立っていた。驚いて逃げ出したが、もう一度見に行くと、象の代わりに
荷物が盛大に崩れていて、その真ん中には不恰好な指輪が一つ。
気になって、母に由来を聞いてみると、それは子象の尾の毛を収めた
魔除けの指輪で、父は俺が招待に応じたら渡すつもりだったと言われた。俺はGWを全部費やして荷物を整理すると、その部屋を自分の趣味のために
使うことにした。
指輪はする気にはならなかったが、財布に入れてお守り代わりにしている。それから、象の鳴き声は聞かない。
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『第1449話 魔除けの指輪』へのコメント
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名前:あさ 投稿日:2012/04/22(日) 01:09:25 ID:4a12e65e9
こういう家族もいるんだね。
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名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2012/07/19(木) 13:37:55 ID:eb8170cb4
子象「おとうさんがむすこにあげようとおもってたゆびわだよー、だしてー」
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名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2013/12/05(木) 15:43:30 ID:2a92eb7d5
象の優しい瞳が思い浮かんだ
親父さんの招待に応じられたら良かったね(´・ω・`)