第3651話 呪われた借家

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

369 名前:本当にあった怖い名無し Mail:sage 投稿日:2019/06/21(金) 01:11:25.06 ID:Hv/dxmhn0
ガキの頃住んでいた呪われた借家
最初に断っておくが長い割に大した内容ではないしオチもない
この手の話が好きな人だけ読んでくれれば本望だ
それと時系列順に書く都合上リアルタイムの体験談と、
成人して後から知ったこととが混じっているのでその辺はご勘弁を

俺はとある県の田舎町で生まれた
親父がやっていた商売が大当たりし、俺が6歳の頃に県庁所在地へ引っ越した
親父は自分の理想通りの物件を探すためにかなり奔走したそうだ
その甲斐あって築年数は相当経っているが、格安の一件を探し当てた
メイン通りに面した店舗部分は鉄筋コンクリート
それに接した1,2階の住居部分は木造モルタルという変則的な造り
さらに離れの位置に築40~50年は経っているであろう旧母屋の木造住宅があり、
これがこの物語の舞台となる

親父のプランではまず店舗兼住宅を拠点とし、資金を貯めて数年後には
土地建物を取得、一時的に旧木造住宅を仮住まいとし、
商売を続けながら店舗兼住宅をリフォームというものだった
何より大家さんが高齢で病弱
おまけに古い建物だから誰も相続したがらなかったゆえ、
自分の手から離れるのならその方がありがたいというムードだった
なので借家の頃から店舗を少々改造して使っていた
商売の方は大繁盛でしばらくはネコの手も借りたいほどの忙しさだった

引っ越しは俺の小学校入学とほぼ同時期だった
だから転校生として注目されることはなかったが、既に幼稚園時代からの
仲良しグループが形成されていたので友達作りでちょっと苦労した
そういう思い込みがあったせいか俺を異分子扱いして露骨に避けていたA男と、
蛇蝎のごとく不快な表情を浮かべていたB子がいたことは覚えている
他は特筆すべき点もなく、小一の夏休み前には普通にクラスに溶け込んでいた

370 名前:本当にあった怖い名無し Mail:sage 投稿日:2019/06/21(金) 01:12:26.58 ID:Hv/dxmhn0
この頃は楽しい思い出が多かったせいか店舗や住宅部分の間取りや、
家具の配置まで今でも色付きで思い出せる
ところが離れの旧家については全くと言っていいほど覚えていない
段ボールとおやつ持って大勢で秘密基地作るほどの好奇心旺盛なガキなのに、
すぐそばにあるオンボロ家屋にはなぜかほとんど魅かれなかった
むしろ夜は無人で真っ暗だから怖いと潜在的に忌避していたと思う

小学二年の夏、親父は自己資金を貯め銀行の融資を受けることが決定した
いよいよ不動産取得をという段階になって、大家さんの二代目なる者が現れた
先代とは何十年も絶縁だったが、死期ぐらいは看取ろうと半年ほど前に復縁
それに伴って土地を分筆して一部を相続したいと申し出て来た
親父が所有したいのはメイン道路に面した部分であり、
旧家まで含めると正直言って土地が広すぎて多額の固定資産税が掛かる
二代目が相続したいのは旧家の部分で、それを解体してマンションを建てたい
とのことだった
(ちなみに先代は大地主で他にも多数のアパートマンションを所有していた)

両者の利害関係が一致したのでこれに同意
非常に紳士的で信用できる男性だったので事は問題なく進んだ
ただし我々が一時的に旧家を仮住まいとし、その間に店舗兼住宅をリフォームする
このことを申し出たら人が変わったように反発してきた
「それは困ります」
「あんなオンボロ、仮住まいにもなりませんよ。他に移ったらどうですか?」
そうは言っても親父はこのプランで動いているしそれが先代との約束でもある
何より荷物を歩いて運べる距離に建物があるのだから、
これ以上合理的な一時移転先が他にあるはずもない
「わかりました、なら早急に明け渡して下さいね」
二代目は怪訝そうな表情を浮かべながらそう言い残した

371 名前:本当にあった怖い名無し Mail:sage 投稿日:2019/06/21(金) 01:13:29.54 ID:Hv/dxmhn0
土地の分筆にあたり親父は測量機器をレンタルしてきた
若い頃に土方のバイトの経験があったのと、自分で土地登記すればタダだから
(司法書士等に委託すると軽く数十万はとられる)
ところが登記簿謄本といくらにらめっこしても数字が合わない
土地登記を見たことある人なら分かると思うが、実際の土地の面積って
たて×よこ で表されるような単純なものではなく、幾つかの三角形に分割し、
三角関数を使って求めるのが一般的
この時は測量する度、計算する度に違った値が出て親父も困り果てたそうだ

それでも無理やり一つの解を導き出し、絶対とは言えないまでも
ギリギリ許容範囲内だろうという代物を作り上げ、親父は法務局へ向かった
意外にも書類は一発で受理され、後日職員が現地調査に伺うとの返事をもらった
その帰り道、親父は大事故に巻き込まれた
不幸中の幸いで命に別状は無く、ほぼ10:0だったので相手の保険で対応できたが、
車は完全に廃車の上に全治一ヵ月の入院となった

こんな事態となったので引っ越しや土地分筆の現調は後回しとしても、
日々の商売を母一人でやるのは不可能
たまたま叔母さん(母の従妹、当時大学生)が早い夏休みに入ったので、
助っ人としてうちに住み込みで働いてもらうことになった
しばらくは女手メインで大変だったと思うが、親父が退院したらすぐに
引っ越し準備にかかれるよう旧家の掃除をすることにした

それまで旧家の玄関は入ったことはあるが、その奥は初めてだった
親父がああなった以上、俺も何かしなければという強い思いが先行し、
怖いだのなんだのは言ってられなくなった
叔母さんを先頭に俺、それと一つ下の妹の計三人が二階へ上がった
階段を上がると両サイドに部屋が一つずつあった
叔母さんは向かって左手の部屋に入り掃除の指示を出した
ハタキで上から下へ埃を落とし、それから学校の掃除と同じようにホウキと
チリトリで床のゴミ集めるんだよ、と

372 名前:本当にあった怖い名無し Mail:sage 投稿日:2019/06/21(金) 01:14:31.52 ID:Hv/dxmhn0
叔母さんのやり方を見てから俺と妹は反対側の部屋へ移った
作業に没頭していると不思議と恐怖は薄れるもので、数分も経てば
キャッキャと悪ふざけしながら掃除を楽しむ余裕も生まれてきた
すると反対の部屋から叔母さんが俺らに呼びかけてきた
そうそう、押入れも開けて中きちんと掃除してね、と
「はーい」と返事をしようと思ったら叔母さんの尋常じゃない悲鳴が聞こえた
何事かと思って駆けつけたら叔母さんが腰抜かしてへたりこみ、
押し入れに人がいた!!と恐怖に慄いていた

その後のことはよく覚えていないが普段の住宅に戻って母も加わり、
叔母さんが落ち着きを取り戻して語り始めた
押入れの戸を開けた瞬間、恐ろしい顔をした女性が天井から逆さに顔を出し、
それがスゥッと天井裏へ消えたとのことだ
それまで幽霊の類は見たことも無かったし、まして嘘をついて我々を脅かして
楽しむような人でもない
父の代わりに一家の長となった母はきっと気のせいだよと言って窘めていたが、
内心は穏やかでなかっただろう

一方親父は点と点を線で結び付けていた
事故と幽霊騒動、いずれも旧家に対して何か起こした時に発生している
地鎮祭を前倒ししその際に除霊もしっかりやってもらおうと結論づけた
早速そのように手配が進み、当日は親父も仮退院をもらって祈りを捧げた
これが効いたのかその後しばらくは何事も起こらず、旧家の掃除は終わった
ついでにガキでも運べるものは先にどんどん運び入れようと思い、
俺と妹はプレステ、漫画、衣服、人形などを何往復もして小出しに移していった
親父が退院した頃には、大きめのタンスやテレビといった僅かばかりの家具
だけが残り、それらも全て運び入れたら旧家にはすっかり生活感が漂っていた

親父の退院祝い、忙しい商売、どうせすぐまた引っ越すのだからと段ボール
に囲まれたちょっと非日常的な生活、、、これらに埋もれて気付かなかったが、
奴は虎視眈々とその機会を伺っていた

373 名前:本当にあった怖い名無し Mail:sage 投稿日:2019/06/21(金) 01:15:57.63 ID:Hv/dxmhn0
旧家は台所は普通に使えたが、トイレが汲み取りで風呂釜は傷んで使えなかった
ある日、便所でクソしてたらあり得ない角度で何者かに転ばされた
運よく咄嗟に両手を便器の縁にかけ、なんとかふんばって脱出できた
俺は事なきを得たが妹は実際に便所に落された
たまたま悲鳴を聞いた俺が店に行って助けを求めたからすぐに救出されたが、まあクソまみれで汚いのなんの…
幸いにして夏休み期間中だったけど、妹は一週間ぐらい匂いが取れなかった
風呂場で何度も何度も行水して石けんとシャンプーで洗い流す、、、
しばらく引き篭もってこれをずっと繰り返していた
その妹曰く、ウンチしてたら後ろからドンッ!と押されたとのことだ

次に奴が狙ったのは母と叔母さんで、二人して悪夢にうなされるようになった
しかもそのビジュアルがほとんど同じで、黒い人が延々と自分を追いかけるのだ
そこで目が覚めて夢かと思って眠りについても、その続きを見てしまう
こんなことしている内に二人はすっかり寝不足となってしまったが、
親父が退院して本格的に復帰した頃叔母さんは帰郷し、その後は何ともないとのこと
その分奴は母に襲い掛かり、その行動は夢だけではなく現実世界でも牙を剥いた

ある時から母は料理の準備で食器を頻繁に落とすようになっていた
他にもあっただろうが、食器が割れる音はセンセーショナルなのでよく覚えている
いくら寝不足とはいえバリバリ20代の若い頃の母だ
耄碌するにはまだ早いが、親父は疲れているのだろうと母を労わっていた

そんなある日、俺は晩ご飯まだかなーと思いつつ居間でゲームをしていた
すると台所から「助けて!!」という母の悲鳴が聞こえた
大急ぎで向かったら手首から血をダラダラ流し、なおかつ包丁の刃を自分に向けて
それに必死に抵抗している母の姿があった
俺は咄嗟にまな板を持って母の両手を二三度思いっ切りブン殴り包丁を叩き落した
すぐに救急車を呼んで病院に搬送となった
出血は酷かったが軽傷で済んだので三日後には退院できた

帰宅した母が言うには自分でもなぜあんなことをしたのか分からない
だけどそれ以降、一度も悪夢を見ていないとのことだ

374 名前:本当にあった怖い名無し Mail:sage 投稿日:2019/06/21(金) 01:17:24.23 ID:Hv/dxmhn0
ここで我々家族は一つの仮説に辿り着いていた
奴は旧家に住む人に致命傷を与え、目的を達成したらターゲットを変更する
ただし出て行った人に対しては深追いしない、と
事実叔母さんはあれ以降いたって平穏な日々を過ごしているし、親父の事故、俺と妹の便所、母の包丁以降も同様だ
ならこれ以上悪いことも起きないのではなかろうか

いや、まだ一人残っている、俺だ
俺は確かに便所で何者かに転ばされるという不思議体験はしたが、
所詮はそれまでであって未遂に終わった以上およそ致命傷とは言い難い
どう考えても一番注意すべきは俺だったと後からなら何とでも言えるが、
この頃はチンコの皮も剥けていない血統書付きのクソガキだったから、
他人の忠告や警告なんて全く気にもしていなかった
とにかくこの説が正しいものと仮定して、店舗と住宅のリフォームは早急に済ませる
新居に移りさえすれば問題ないんだからそれまでは注意するようにとの結論に達した

夏休みも残り僅かとなった8月末のある日
先に書いた通り旧家の風呂釜は壊れていたので、我が家の入浴は行水と銭湯通いを
一日おきぐらいに繰り返していた
この日は母と妹と一緒に女風呂に入った
ガラリと大浴場の扉を開けたら、数秒後に女の子の悲鳴が聞こえた
裸だから判別するのにちょっと時間を費やしたが、声の主はB子だった
そう、入学以来、俺を蛇蝎の如く嫌っていたあのB子だ
バーカ、おまえの裸なんか興味ないんだよ、、、と言おうと思ったら、
「後ろ!!」とわけの分からんこと言ってB子は浴場から急いで逃げて行った

こいつはいつもそうだ
入学以来、俺を見ては「イヤー!」だ
こっちは何のことだかさっぱり分からんから笑顔で普通に歩み寄るのだが、
今度は泣き出すからまるで俺が虐めてるみたいだ
女の子を泣かせたらダメだろう!と一部始終を見ていない先生に怒られたこともあった
それ以来こいつは敵だ、俺にとって何の役にも立たない、いるだけで不愉快な敵だ
そんな奴が消えてくれて大いにけっこう、この時の俺はその程度のことしか考えていなかった

375 名前:本当にあった怖い名無し Mail:sage 投稿日:2019/06/21(金) 01:18:30.07 ID:Hv/dxmhn0
8月29日か30日のこと
クソガキ数名が集まって夏休みの思い出の作文まだだったな、やっべーwww
なら今から思い出作ろうぜという安直な思い付きからサイクリングに行くことになった
その日、お察しの通り俺は事故に遭う
男子4,5人がタテ一列になって広い歩道(自転車走行可)を走っていたら、
一時停止無視した車が横から俺だけピンポイントにドーン
一回転して頭と背中打って救急車で運ばれて全治一週間

両親と一緒に見舞に来たドライバーはどこぞの社長のお抱え運転手で、
普段は超がつくほど安全かつ優良な運転を心掛けているのにその日に限っては、
なぜか白線超えてから停止しても大丈夫だろうと魔がさしたとのこと
もちろん治療費は相手持ちで自転車も新品に替えてくれた上に、
それとは別の多額の慰謝料も払ってくれたのでこちらとしても最大限の減刑を望み、
前科がつかないように手配した
両親は「この程度で済んで良かったな」と言っていた
ドライバーも同意はしていたが、多分彼にはこの言葉の真意が分かっていなかっただろう

9月6日頃、一番長い夏休みが終わりちょっと遅い俺の二学期デビューがやってきた
事故の噂は既に広まっていたからちょっとした有名人だった
無事でよかった ケガ大丈夫なのか? また遊ぼうぜ 等々
次の日の放課後だったと思うが、入学以来俺を避けていたA男とB子がやってきた
ああ?今さらおめーらに用はねえんだよ、、、とでも言おうと身構えていたのだが、
今までとは明らかに異なる好意的な目で俺に接してくる
「消えてる」「いないよね」とわけの分からんキーワードは相変わらずだったが

凝り固まった敵意を徐々にほぐし二人と初めて普通に、本音で話をしてみた
要するに彼らは俺ではなく、俺の背後に見える黒い人が嫌いだったとのこと
「怖い」じゃなくて「嫌い」、それが強くなって精一杯忌避していたんだと
でも小学生の情報処理能力ではそれを伝えられず、あのような態度をとるしかできなかった
そう言われてみればA男もB子も「後ろ!」「来るな!!」と何度も言ってたし、
黒い人が見えるのは、同学年ではこの二人だけということも分かっていたから、
他の人に相談することもできなかったと言っていた

376 名前:本当にあった怖い名無し Mail:sage 投稿日:2019/06/21(金) 01:19:36.03 ID:Hv/dxmhn0
旧家に移り住む前は黒い人は小さかったんだけど女風呂でB子と会った日、
要するに事故に遭う直前は特にそのパワーが強く、
この場に一秒といられなかった、耐えられなかったとも言っていた
そっかー、B子の裸見られるのが嫌で逃げてるのかと思ったよと言ったら、
笑顔で軽く叩かれたw

とにかくこれで家族が不幸な目に遭うことは二度とないと思っていたのだが、
二人はさらにこう続けた
「俺君の後ろの黒い人は消えたけど黒い人はいる」
「俺君が不幸になることはないけど、でも俺君きっと不幸になるかも」
「だから俺君、気を付けてね」
言いたいことは俺の方がよく分かってる
要するに俺や家族が直接被害に遭うことはないが、身内にまだその影響が残っている
とすれば残るは叔母さんしかいない
なんせ短期間とはいえあの旧家に住んだことのある人だ

俺は帰宅してこのことを母に伝えた
するとA男B子証言とは無関係にもしも次があるとしたら叔母さんしかいないと、
母は既に注意喚起を促していた
しかし結論から言うと叔母さんは現在に至るまで不幸らしい不幸に全く見舞われていない
むしろキャリアウーマン、女性実業家のサクセスストーリーとして表舞台にどんどん
出てもいいぐらい素晴らしい経歴を積み、玉の輿相手を見つけ豪邸に住んでいる
うちの家族は5番目の人の予想を完全に見誤っていた

9月の中頃
店舗に接していた木造モルタル部分の解体があらたか終わって躯体が露わになった頃、
漏電が原因で木造部分はほぼ全焼、店舗も一部水を被ってしばらくは休業を余儀なくされた
復旧が見えてきた矢先、今度は同業他社の新装開店のチラシが舞い込んできた
親父の成功を見てそれをパクり、さらに大規模な店舗が近隣にオープンするらしい
それまで泥水すすってでも家族一丸となって頑張ってきたが、ここで白旗を上げた
5番目の人は個人ではなく「法人」だったのだ

377 名前:本当にあった怖い名無し Mail:sage 投稿日:2019/06/21(金) 01:20:40.14 ID:Hv/dxmhn0
建築業者には手付金として一千万ほど払ったが、銀行からは融資を受ける直前だった
ここで引けば傷が浅いうちにまた立ち直れる、という父の説得を受け入れるしかなかった
そうと決まればこんな物騒な所にはとても住めない
すぐに転居先を見つけて引っ越しすることで話は決まったが、ここで一つの疑念が渦巻く
ここを離れたとして奴は追ってこないだろうか?
除霊できるなら今の内に徹底的にやっておきたい、と

そこで八方手を尽くし、この界隈では割と有名だという神主さんを招いた
ところが神主さん、車から降りて店舗前に立っただけで「これは私には無理です」と漏らした
多額のお金用意してここまでお越し頂いたのだからすぐに帰られるのは困ると、
無理やり手を引っ張っていったのだが店舗と旧家の中間ぐらいでギブアップ
「本当にすみません、とても私に清められる相手ではありません
どうしても除霊を希望されるのであれば私の師匠を紹介しますが、半年ほど待つかと
それよりもこれは、ここから頑として動かない地縛霊のようなものなので、
皆さんが引っ越しされるのであればそれが一番手っ取り早くて確実です」

その言葉を聞いてほんの少しだけ希望の光が見えた
除霊はできなかったがアドバイス料として当初の金額の一部をお支払いした

残るは大家の二代目だ
この人はきっと何かを知っていて隠しているに違いない
推測と言うよりは限りなく100%に近い断定で彼を呼び出し、話を伺うことにした
開口一番、彼はこう言った
「この度は大変申し訳ございません。でも私は何も知らないんです」
何も知らないのになぜ謝るのだと問い詰めたら、彼は自分の身上を語り始めた

要約すると以下の通り

378 名前:本当にあった怖い名無し Mail:sage 投稿日:2019/06/21(金) 01:21:41.86 ID:Hv/dxmhn0
━━━先代はある時から邪教にはまり、家庭を犠牲にしてでも商売繁盛を願っており、
その儀式があの(最初に幽霊を見た二階の)部屋で行われていた
(二代目の)母は家庭を顧みない先代と対立し、夫婦喧嘩や親子喧嘩が絶えなくなった
やれ二言目には「出て行け!」「離婚だ!」といった罵声が飛び交い、
思春期だった二代目は売り言葉に買い言葉でこんな家出てってやる!
と高校卒業と同時に家出同然に飛び出した

家を出てからも母とは断片的に連絡をとっていた二代目だが、ある日の電話で、
「何人たりともこの家には住まわせないよ!出ていくのはあの人(先代)だよ!」
という言葉が母との最後の会話になった
二代目は母の言葉が気になり数年ぶりにこっそりと帰郷したが、
家は既にもぬけの殻で近所の人に聞いてみるも母の行方は何としても分からなかった
父については○○不動産のカンバンがあちこちにあるからいつでも連絡はとれるが、
当時は家庭を崩壊に導いたあんな奴がどうなろうと知ったことではなかった━━━

ここまでが昭和50年代の話

380 名前:本当にあった怖い名無し Mail:sage 投稿日:2019/06/21(金) 01:23:13.60 ID:Hv/dxmhn0
月日は流れ平成の初期

━━━40代となった二代目はすっかり丸くなり、二児の父親となっていた
そんなある日、遠い親戚から父(先代)はそう長くもたないだろうと聞かされる
これ幸いと二代目は弱り切った父の面に小便でもかけてお別れしようと思っていたが、
数十年ぶりに再会した父はまるで仏様のように見えたという
両手を握ってワンワンと泣き出してただひたすらに懺悔された
「すまねえ、おまえにゃとんでもない苦労をかけた
謝って済む話じゃないのは分かっているが、どうか一時の過ちと許してほしい」

そこまで言うならと二代目は真っ先に母のことを訊ねたが、先代も知らないとの事
離婚したのは間違いないがその後の消息は本当に分からない
ただし離婚した直後から恐ろしいことが起こるようになった
二階のあの部屋の祭壇一式がなくなっていたから母が何かをやらかしたのは確かだ
あの家には俺一人しかいないはずなのに、そこら中から人気が感じられるようになった
やがて何もない所で転んだりタンスが倒れてきたりと危険度がどんどん増していった
こんな所にはとても住めないと自分の所有しているアパートに避難した
家財道具はちょっとでも母の念が残っていたら嫌なので、
リサイクル屋に二束三文で売り払った、とのこと━━━

ここで二代目は母の最後の言葉を思い出して先代へ伝える
どんな状況であれ女性に「出て行け!」は死にも等しい宣告だろう
なら母は死んだ、とは考えたくないがそれに近い何らかの手段で、なお且つ親父(先代)
を上回るもっと邪悪な強力な存在となってそれに打ち勝とうとしたんじゃないかな
「ここは私の家だ!誰にも邪魔されないよ!」という思いだけを残してね

381 1 名前:本当にあった怖い名無し Mail:sage379連投支援thx 投稿日:2019/06/21(金) 01:24:23.27 ID:Hv/dxmhn0
二代目はお恥ずかしながらこういうことがあったのですと、両親に説明した
そう考えると今までの様々な出来事の辻褄が合う
親父は土地を分筆しようとしたから数字を狂わせたり交通事故で対抗
叔母さんは掃除に訪れたから感謝の気持ちを込めて実態の姿で天井裏から現れ、
すぐに帰ったことから勝ち組の人生までプレゼントされた
俺はクソガキだったからクソまみれにしてやろうと企むも未遂で終わる
なら代わりに妹だ
母は家事やってるからいつでも襲うことができる、それがたまたま包丁だった
おっと、本家クソガキがサイクリングだ?ならここは交通事故でしょー
ここまで嫌がらせしてるのにこの家族どこまで鈍感なのさ
じゃあ最後は会社ごと消えてもらいましょ
きっとこんな感じだったのだろう

さらに不幸なことがもう一つ重なった
当初の予定では我々が旧家に仮住まいを移す前に、例の神主の師匠さんに除霊を
やってもらうよう先代が手配していたので、それであれば我々が旧家に一時住んでも
問題ないだろうと解釈していた
ところが親父の商売が予想以上に好調で仮住まいが前倒しとなってしまった
完全に順序が逆となったのだが先代はそのことを失念していた

何を言いたいかってーと安い物件にはそれなりの訳があるから、
みんなも気を付けてねということ

(おわり)

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク

『第3651話 呪われた借家』へのコメント

  1. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2019/06/24(月) 20:25:07 ID:d38149964

    不動産屋のステマか

  2. 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2019/07/19(金) 14:29:17 ID:5272fe512

    「先代が悪い」と丸め込まれた投稿者一家でした。